第12話

 夜の礼拝の時間になった。


 ハワードは一人、教会に行くことにした。なぜなら、エイダに会えるかも知れないからだ。

「一人で出歩くことは許しません」

 ハワードは城を出ようとしたところを執事のゴードンに見つかり、護衛として兵が2名つけられた。


 教会に着くと、ハワードはなるべく目立たない場所にこっそりと立って、エイダを探した。すると、直ぐにマクミラン子爵夫妻とエイダが礼拝にやって来た。


「エイダ様、こんばんは」

「まあ、ハワード様、こんばんは」

 エイダは驚いて声を上げた。


「お静かに、エイダ様。今日はお忍びで礼拝に参加しているものですから目立ちたくないのです」

 ハワードはエイダの唇を人差し指で塞いだ。

「……失礼致しました!」

 エイダは顔を赤くして、頭を下げた。


「実は、エイダ様に折り入ってお願いがあるのですが」

「はい、何でしょうか?」


 ハワードはちょっと迷ってから覚悟を決めた表情で言った。

「私の護衛をお願いできませんか?」

「え!? 私がハワード様の護衛ですか?」


 エイダの言葉にマクミラン子爵が言葉を挟んだ。

「何故、家のエイダにそんな危険な仕事をさせようとお考えになられたのですか?」

「エイダ様の魔力があれば、私の命を狙っている犯人と証拠が押さえられるのではないかと考えまして」

「エイダにそんな危険なこと……」


 母親の言葉を遮って、エイダが言った。

「お引き受け致します」

「エイダ!?」


「犯人を捕まえて、ハワード様が安心して生活できるようにして差し上げたいのです」

「そうか……エイダがそう言うなら、護衛の任務をお引き受け致しましょう」

 マクミラン子爵は渋い顔で頷いた。

「ありがとうございます。それでは早速明日から王宮で暮らして頂きます」


 ハワードは、マクミラン夫妻とエイダに礼を言った。

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