八話 バド部入部交流戦

審判は、山田純先輩である。

「え〜と、瓜生先輩のちょっとしたわr...」

先輩は女王様にぎょろっと睨まれる。恐怖に陥る。言い直す。

「...コレヨリ、バドブノニュウブコウリュウセンヲハジメル!!ルールはシンプル二点先取だ!!お前ら、興奮するような試合を見せてくれ!!それでは、はじめ!!」

先輩、女王に睨まれて、少しの恐怖感を感じつつもだんだん順応して、なんかテンションが間違っている方向へ進んでる。

でも、今はそんなことは考えない。試合前にジャンケンをして、俺はパーを出した。しかし、彼はグーを出した。つまり俺が先攻だった。大也の力を見て、作戦を一気に立てたかったのだが、まあ試合中に少しは考える隙はあるだろうと願い、サーブを打つことにした。

しかし、それが誤りであった。


俺の心で試合のホイッスルが鳴り響く。周りには先輩方、そして恭子に幸が見守る。この試合の行く末を皆が楽しみにしているのだろう。俺はサーブを打つ。シャトルはそのまま放物線上に沿い、彼の頭の上にきた。俺はやってしまった。一瞬彼を人間と認識しなかった。いや

俺は何もすることなく、後ろのアウト線にシャトルが着いた。彼は恐ろしく速い瞬発力、そして正確性をしっかり持っている。俺に敵う筈がない。

そして、一点取られてしまった。彼のサーブへ移る。俺は必死に考えた。彼の弱点を,,,しかし、何もなかった。俺の体力でさえも奴の速さに応じることができるのか。そればかり考えていた。つまり勝ちには執着してない。

しかし、それが正解だったのだろう。

彼のサーブを打ち、数分は俺はありったけの体力で奴の豪速球についていた。俺は今、何も考えてない。ただしんどいだけの試合、でも楽しい。俺は奴のハネにを感じた。加えて何やらもあるような気がした。

「クソっ!どれだけついてくるんだよ!」

奴が試合中にセリフを放つ。俺はその隙を狙ってたのを思い出した。そして、俺の頭上にシャトルが来た時、思いっきりスマッシュを狙った。そのハネはそのまま彼の後ろに向かった。

秒数にして、0.05の間。彼は股抜きショットを成功させて、ネット際まで飛んだ。そして、ネットに当たった。ギリギリだったのだろう。彼のコートからひょろりと俺のコートに入った。


俺は負けてしまった。けど、なぜか悔いはない。もちろん悔しさはあるが。



「やるじゃねえかよ...」

彼はとても疲れている。

「お前も...な」

俺もかなり疲れている。

ここに俺たちの友情が生まれた。

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