七話 恋するバドミントン
増井大也、高校一年。まあ同い年で、幸の幼地味である。おそらく幸と同じクラスだったはず。相手のバドミントン技術はあの瓜生先輩を打ち負かしたほどである(過去の話であるが)。瓜生先輩の分析でもなかなか倒せない相手だと思ったのだろう。でも、俺なら勝てる。そう信じてる。いや、勝てるんだ。あの時の俺ならそんなこと考えなかったが、今ではわかる。相手はせっかちで、純先輩よりも鋭いスマッシュをバンバン打ち込んでくる。試合開始から試合終了まで時間があっという間に過ぎる。瓜生先輩は分析する時間を要する。だから、分析し終わった後はもう手遅れとなり、負けた。でも、俺の強みは体力お化けの粘りのプレーである。ひたすら粘り続けたのちに相手は少しだけ疲れる。そこをひたすら狙えれば勝てる。つまり、とてもしんどい試合となる。でも、ここで勝てば俺は一歩幸の元へ近づく。
「おっと、良いところに賀翼がいるじゃん!なあ、賀翼さ、こいつと戦え!」
「え〜先輩、こんなひ弱そうな奴が僕の相手ですか?」
俺は無性にイラっとした。ひ弱じゃねえ!むしろ筋肉で固められてる。
「大也とこいつは少々戦略的に相性悪いと思うから、良い勉強になるよ!絶対に!」
「先輩がそう言うなら、やりますけど...」
そして、そいつが俺の前に立ち、握手を求めてきた。
「僕は増井大也、オリンピアで金メダルを目指す選手だ。せいぜい僕と対等に戦ってくれよ?」
話の節々にイラつく箇所があるが、グッとこらえて、俺は大人な対応をする。
「俺は、須藤賀翼って言うんだ!もちろん、君と対等に戦ってやるぞ!」
大也が少し嬉しそうな顔を示したように感じられた。
そして、幸に2年の先輩ら、瓜生先輩、そして恭子に見守られ、試合が始まる。これは後々に我がバド部の伝統的試合となる初めてのバド部入部交流戦が始まる。
ルールは、いたって簡単で、2点先取である。以前幸と瓜生先輩が戦った試合とほぼ同じルールだ。ただ一つ違うとすれば、一年同士の試合だということ。瓜生先輩のちょっとした悪ノリで生まれたこの試合、
俺は運命を変えるべく今ここで勝つ!!!
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