七話 恋するバドミントン

俺はまず瓜生先輩の方へ向かった。まあおそらく体育館であろう。それで、体育館の玄関前に立った。そしたら、急に変な気分が襲ってきた。今日の昼休みでの浩介のこと、そして恭子のこと。それを思い出すと、悠にできない。でも、顔をパンと叩き、中へ入る。その時に、後ろから名前を言われる。聞き慣れた声だ。

「賀翼!」

「え、あ、恭子...」

「ん?どうしたの?」

「いや、別にどうでもないよ」

「そう...」

少しテンパってしまった。でも、その気分を振り払い、中へ入る。現在体育館にいたのは、2年の成岡先輩と山田先輩だった。しかし、瓜生先輩と幸はいない。だけど、後ろから声をかけられる。

「賀翼!今日もよろしくね!」

入部する前よりかなり元気な声質、表情を示して、女子更衣室の方へ向かった。俺は清々しい気分になった。

「ああ、幸!今日もよろしく!」

そんな会話をしているとふと視線を感じる。鋭い視線だ。

「あの子が幸ね...」

少し空気が険悪になったような気がした。あの噂が本当のように思われたからだ。だが、その空気を2年の先輩方が払ってくれた。

「おや?賀翼、その子は?」

「え、あ、大喜先輩!こんにちは!この子、一応見学に来た子です!」

「え?マジで?こんな可愛い子がまた来たの?」

とても気持ち悪くなった純先輩を大喜先輩が止める。

「純!それ以上は犯罪だぞ?」

「何だよ、大喜!別に何かしようとしてないからな!」

「ごめんね、こいつ、女の子に目がなくて...」

「あ、わかりました〜!」

恭子は変態純先輩をマークした。

「そういや、賀翼?お前知ってるか?」

「え、何ですか?」

「今日さ、この子以外にも新しい子が入部するって」

「え、入部ですか?」

「ああ...でも、まだ来てないんだよな〜」

まさかの入部希望者が来るらしい。そして、ふと後ろから聞き馴染みのある声と知らない声が聞こえた。

「いや〜まさか、君がここに入ってくれるなんてな〜」

「僕も驚きですよ。高校のバド部に入ろうと思ったら、因縁の先輩と幼地味の幸もいるとは〜」

俺ははっと気づいた。少し嫌な記憶を思い出した。かつて中学の時にバド部大会一位総なめしてたバド部界の神童、増井ますい大也だいやである。そして、幸の幼地味であり、瓜生先輩が中三の時に中一であった奴が先輩を倒したというを残している。そういう奴が偶然この部活に入ったことをすっかり忘れていた。こんな大事なことを忘れてたなんて少し...

そしてこの後に起きる展開も思い出してしまった。

「そうや!うちにさ、面白い奴がいるけどさ、そいつと戦わない?」

「いいですね、ちょっとなまってた体を動かすのにいい感じの相手なんですよね?それならやります!」

「相変わらず嫌な奴だな〜」

「そんな〜瓜生先輩ほどではありませんよ〜」

彼が言ってる相手も先輩が言ってる相手も全て同じ人物、俺だ。俺はこの後、恭子の前で、幸の前で奴と試合をすることとなる。ここで、奴と良い試合をしなくてはこれからの未来が変わっていく。決定的な瞬間であるのを思い出した。

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