二話 一試合目
最強な先輩の思いつきにより俺は好きな幸と試合をすることとなった。2点先取の試合である。俺は久しぶりにこのラケットを持ち、懐かしさに浸りつつも目を変えた。久しぶりなこの感覚、そして久しぶりの彼女との試合。俺は興奮しそうな鼓動を抑え、冷静になる。後悔だけはしたくない。そう思い、過去の俺を思い出す。昔の俺は体力お化けでひたすら粘るプレーが多かった。でも、今は精神的に30のおっさん。この体力で引き締まった筋肉を30のおっさんで扱いきれるのか、甚だ疑問である。でも、メリットはもちろんある。今までの経験、知識が蓄積されてある。だから、それらを武器に彼女を倒す。確かあの時は先輩が圧倒的パワーを彼女へ見せつけたことで、彼女は救われた。よって、俺も彼女へ正真正銘のパワーを見せつける。その前に彼女の概要、彼女は正確なショットを撃ち出すのが得意で、特に比較的高めの身長から繰り出されるジャンピングスマッシュは圧巻である。でも、彼女がジャンピングスマッシュしたところで俺が打ち、ネット前に落とせばこの時の彼女なら、打つことは難しい。その作戦で挑むことにした。
審判はあの先輩、サーブは俺から...
手汗がグリップににじみ出る。この選択で今後が決まると想像して、緊張したからだ。そして、打つ。一回目は彼女の正確なショット、悪く言えば撃ちやすいシャトルをひたすらその体力で打ち返す。ラリーは続き、彼女があの技を出すそぶりを見せた。そして、案の定彼女はそれを繰り出した。俺は手筈通りにネット際に落とした。彼女はそのシャトルを打てなかった。俺のポイントを獲得した。でも、彼女はその時、何やら震えているような気がした。そして、何やら怖がるような眼もした。そこで、彼女が一言小声で放つ。「あなたもだったのね...」
その一言で、彼女はラケットを捨て、逃げた。周りの先輩たちは驚きの目をしてる。俺は彼女を追いかけようとしたが、なぜか動かない。何やら運命がそうさせてるような感じだ。瓜生先輩がそう言った。「逃げる者に、うちの資格はない...」
先輩がそう言うと、周りは仕方ないなという目をして、そのまま練習再開へ戻った。俺はただそこで呆然と立ちすくむだけだった。そして、ふと思い出した。俺のプレーが彼女にトラウマを植え付けたやつと同じプレーの型だったこと。俺はここで彼女と試合をしてはいけなかったということ。俺は重大なミスをしてしまったこと。せっかく得たこのチャンス、後悔のないようにしてきたのに早速悔いを残してしまった...
■
そしたら、俺の頭に強い衝撃が襲い、気を失わせた。そして、俺が目を覚めた時、俺の実家であった。カレンダーを見ると、なんと入学式の朝であった。俺は再びタイムリープしたのであった。俺は塾考する。なぜこの現象が起きたのか。おそらくのトリガーは”後悔”だと思う。納得はするが、最終的な結論には至らず、いつもと同じ、前の光景と同じことをする。そして、放課後へ向かう。俺のやらかした選択を正すために...
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