第4話
「みなさんお疲れ様です」
僕は駆け寄った先でみんなに挨拶をした。
「おう!そっちもお疲れさん!」
所長のその言葉に僕が少し苦笑いを浮かべると、満面の笑みで続けた。
「まあ、話は飯のあとだ。俺の部屋は知ってるだろ?そこでゆっくりと話そう」
「はい」
そう言うと、笑顔をみせ、またご飯をバクバク食べる所長を見て、今日は所長と同じのにしようと思い、自分の分を取りに行った。
ご飯を持って、空いた席に着き、みんなが話すのに少し混ざりながら食事を進めていく。
今日はなんだかいつになくみんなが元気に話している気がする。実験が上手くいっているのかも知れない。そんなことを考えて、ボーッとしていると不意に肩を軽く叩かれた。
「それじゃあ、待ってるからよ」
「あ、僕もいきます」
「もういいのか?」
「はい、もうお腹いっぱいです」
「そうか、ならいくか」
僕は最後の一口を食べて、すぐさま食器を片付けた。早く終わらせたいそんな風に思った。
片付けを待っていてくれた所長にお礼を言い、付いていく。自分の部屋に行くときよりも多い曲がり角を曲がる。なかなか着かない所長の部屋への道のりに、僕はだんだんと息が浅くなるのを感じていた。
「よし、適当に座っててくれ」
「はい」
やっとのことで着いた部屋で言われるままにソファーに腰かけ、目の前でごそごそと何かをしている所長を見つつ、大きく深呼吸をする。2,3度するころには、所長は僕の前の席に座って、煙草を吸いながら話始めた。
「話は聞いてるよ。本気か?」
「はい」
「今ならまだ間に合うぞ」
「ありがとうございます。でも大丈夫です」
少しの沈黙のあと、用意していたのであろう袋を二つだした。
「配分はどうする?」
「半々でお願いします」
「そうか」
所長は少し寂しそうな声で袋を開けて、中身を別けようとしたが、大きな声でうなり
「めんどくせえな。全部持ってけ」
用意していた袋二つと懐から少し小さい袋を机に置き僕の方に押し出してきた。
「いいんですか?」
「ああ、持ってけ。もう話は終わりだ。俺は残った仕事をやんねえといけねえ。解散だ、解散」
「ありがとうございます」
僕は3つの袋を受け取って、お辞儀をしながら部屋を後にした。
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