第2話

契約も終わって、男爵様の屋敷を出ると、テーニャが門から入ってくるのが見えた。

 テーニャもこちらに気付いたらしい。こちらに少し頭を下げて、少し足を速めてこちらに近づいてきた。

 僕は少しだけ手を振ってテーニャが来るのを待ち受けた。

 

 「先輩、お疲れ様でした」

 

 「ん。ありがとう」

 

 「やっぱり先輩も来てたのですね!」

 

 「まあ、今日は大事な日だからな。ていうかなんで知ってるんだ?」

 

 「なんとなくですよ!男爵を待たせると怒っちゃうので行ってきますね。休みが明けたらまたよろしくお願いします!それでは失礼しまーす」

 

 僕が話を始める前にテーニャは男爵様の屋敷に入っていってしまった。

 よほど急いでいたんだろう。まあ辞めることは所長に伝えてもらおうと思っていたし、別に今言えなくてもいいだろう。

 というか僕も急いで帰ろう。まだまだ陽は高いけど、寮はかなり遠いんだ。

 門を通り抜けて、少しだけ見つめて、馬車乗り場に急いだ。

 馬車乗り場に着くと、運よく出発するタイミングだった。途中で降りることを伝えて、さっさとお金を払って乗せてもらう。



 気疲れした体を少し伸ばしながら、適当なタイミングで外を眺める。寮のある場所を知らせる目印を見逃すと、かなり歩かされるからしっかりみないとね。

 務め初めの頃はよく見逃して、隣町の馬車乗り場でまた馬車に乗るなんていう無駄をよくしたけど、さすがにもうある程度覚えているから適当に見るだけでも本当はいいけど、もうこんなことをしないでいいと思うと最後くらいは、と目印が現れる位置をちょいちょいと見ていた。

 そしてついに、目印が現れた。

 僕は周りにいる人に少しどいてもらい、馬車を飛び降りた。周りの人は少し驚いていたので、地面に降りてから少しお辞儀をして、手を振ってお別れをした。

 その後、目印のある木の所へ行き、いつも通りに寮へ向かった。

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