第33話
時は少し遡って、神界にて
「ぬぅああぁぁあ!!!」
カーラは廊下を物凄い勢いで走る。
「ジジィ…じゃなくてゼウスぅ!なんで私あの担当なのよ!」
バンッと扉を開けて怒鳴る。
「カーラか、騒々しい」
ゼウスは肘に手をついて顔を覆う。
「私の奴が死んだのよ!というか、おかしいのよ!采配が!なんでこっちは超絶問題児かつスキル惰星なのよ!」
「それはお主が遅刻したからであろう!それに采配は無作為じゃ」
「んなわけないでしょ!こんなにハズレはおかしいのよぉ!だって死因知ってる!?王女に楯突いて死んだのよ!」
ゼウスはカーラに気圧されて少したじろく。
「知らんわ!」
そう言ってゼウスは立ち上がってどこかに行ってしまう。
「何よ!」
カーラも怒って家に帰ろうとするが、途中で思いとどまった。というか、ここに来たのはカーラの観ている人間が死んだからどうするか聞きに来たのであって、ただ文句を言いに来たのではない。
(しまったわ…私としたことが)
なんとしてでもゼウスに頼んで新しい人材か、復活でもしてもらわないと…!
「あら?どうしたの、カーラ?」
と、丁度そこへ神アフロディーテやって来た。
「ディー!丁度いいところに!」
「なっ、なに?」
カーラは目を煌やかせて、アフロディーテの元による。
「交換しよ〜人間を!」
「……え?」
アフロディーテは戸惑いの表情を見せた。
「いいじゃん、私達の仲じゃん」
「…え〜っと、初対面だよね?」
「ほらほら堅いことは言わずに」
そう言ってカーラはアフロディーテの肩をくむ。
「えっと…スキルランクはどうなんですか?」
「……そんなのは交換してのお楽しみじゃん」
カーラは急に目を逸らして応えた。
「は、はぁ…?」
納得してない顔でアフロディーテは言葉を漏らす。
「で、どうよ?」
「もう死んでるってことはないですよね?」
「それはもちろん(私が見てるときはまだ)」
それでもアフロディーテは疑い深く、カーラを見つめる。そして、観念したのか、信頼したのか、ふぅと溜息をついた。
「分かりました。交換しましょう」
「そう!?やった!」
カーラは飛び跳ねて喜んだ。
「宜しかったのですか?アフロディーテ様。星4をお与えになって」
アフロディーテのお付きのアポロンが跪いて尋ねた。
「えぇ、私は元々権力争いには興味ないし、それにーー」
アフロディーテは水晶をうっとりと眺める。
「この墮星はそいつより興味深いしね」
「ですが…そろそろ試練の時期ですね」
アポロンは顔をあげずに言った。
「………ふふっ」
アフロディーテはその言葉には不敵な笑みを浮かべるだけだった。
超ハズレスキル『働き者』の使い方 千夜一夜nnc @nyanyanyanko
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