第32話
数分前
あー、首斬られた…
俺は空中を舞っている時に感づいた。
人間は首を斬っても直ぐには死なない。3秒かそこらはまだ生きている。
現在、俺は『思考加速』を使って、体内時間を1000倍にしてるので…3000秒、つまり60秒で一分だから…50分くらいか?まぁ、それくらい生き続けることが出来る。
そういえば首を斬られたのに、全然痛くないな。
〈条件を満たしました。スキル『解説』を獲得〉
ん?『解説』?なんの解説だ?
〈頭の悪い貴方のために獲得したスキルです〉
急に頭の中に機械音のような声が響いた。え、なにこれ口悪っ!
〈貴方が馬鹿すぎますからね。まず、痛みを感じていないのはスキル『痛覚無効』が自動的に発動されたからです。『痛覚無効』は通常作用されないのですが、命の危険や戦闘時に重大なダメージを与えられた場合には作用します。無効といっても痛みを減らす作用もあるのでそれも調節されます〉
はぁ?ならずっと痛覚無効でよくね?
〈……はぁ〉
解説係は露骨に溜息を吐く。俺コイツ嫌いかも…。
〈まず、人間が神経を持つかご存知ですか?身の危険から守るためです。例えば腕が切れて血がダラダラと流れていたとしても、気づかずにそのまま出血多量で死んだり、足が骨折していても、足の違和感だけで普通に過ごしていて、急に足が動かなくなることもあるでしょう。つまり、人間のとって神経はとても重大つまり、痛みは生きる上で必要なのです〉
……中学で習ったから知ってる
〈………〉
お、黙っちゃった。
〈後、このままだと死にますよ〉
ん?知ってるに決まってるだろ。首斬られてるんだぞ?
〈早く首を繋げることを推奨。スキル『超回復』で回復させるべきです〉
いや〜それができたらいいんだけどね。思考加速してるせいで体が動くのがとても遅い。てか、動いているのかすらわからない。
〈条件を満たしました。スキル『瞬足』を獲得〉
〈条件を満たしました。スキル『瞬足』がスキル『瞬間移動』に進化しました〉
おお?これで、繋げられるぞ?
〈条件を満たしました。スキル『バラバラ』を獲得〉
ん?バラバラ?
〈スキル『バラバラ』は自身の体をバラバラにすることができます。今のように…〉
俺の頭と俺の体が離れているように、体をバラバラに出来るのか…
おお、なら斬られても不死身じゃねぇか!
〈『バラバラ』の能力の欠点は急所があることです。『バラバラ』のスキルが発動中、体に頭、胴体、右腕、左腕、右足、左足にそれぞれ核が生じます。それらが全て破壊されると絶命します〉
おぉ、なんか厄介だな…
〈そのため、『瞬間移動』を使って、体を接合すべきです〉
なんか面倒くさいな、攻撃されそうになったらでいいかな
〈………〉
なんか言いたげだな…まぁいいけど。ちょっと寝ようかな
ん?なんかイリーナの様子がおかしいな…
思考加速をやめて薄目で見ていたのだが、普通大激怒して皆殺しにしそうな勢いなのに、今回はずっとブツブツと呟いている。
と思っていたら
「そっか!私も死ねばいいんだ!」
と、突然叫びだした。
………あいつ、なにいってるんだ?なんで死ぬんだよ。
するとイリーナは鎌を創り出す。
あ、本気だ。ヤベェな
使うかスキル『瞬間移動』
俺は『瞬間移動』を使って、イリーナの眼の前に移動し、自殺しようとするイリーナの鎌を止める。
「あ、あぶね〜」
ぎりぎりだったな…もう少し遅かったら鎌がイリーナの首を抉ってたな…てか
「俺は生きてるからな!間違っても死ぬって言うなよ!」
俺はイリーナを小突いた。イリーナは嬉しそうに「うん!」と言った。
はぁ、面倒くさいやつだな。
そうは思いながらも別に悪い気はしなかった。
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