第31話





俺の首が吹き飛んだ。



一瞬場は静寂に包まれた。


燃える炎の音がパチパチと鳴る。


「サマン副長!」


騎士団の中の誰かが叫んだ。イリーナが焼き殺した騎士のことだろう。


騎士団は厳重体制に入って俺達を包囲する。


「……貴方達、何してるの、」


三人の中で最初に口火を切ったのはアリエルだった。全身小さく震わせている。


アリエルに斬りかかった騎士は新しい剣に持ち替え、再び斬りかかろうとする。


「うらぅぁ!!…あ?」


右に振り上げた剣が落ちた。腕ごと。


そして、左腕もポトリと落ちた。


「あ…なっ!」


両足が斬れ、首も落ちた。


「気をつけろ!何らかのスキルかもしれんぞ!」


囲んだ騎士の一人が叫んだ。


「隊長!コノヘさんが!」

「何!?」


ルーナの方を見ると、手だけ大きな獣みたいになっており、それで騎士を潰していた。


「な…、なんなんだコイツラは」


絶対的な脅威に冷や汗が流れる。


「……全員ぶっ殺してやる」

「…うん」


アリエルとルーナは互いに背を貸し合って立つ。魔力のオーラが解き放たれて、騎士団の殆どが戦意を喪失しする。


(な、なんだ、あの化け物は!)


「イリーナ、ユウトを連れてきて。一緒に供養しましょ」


アリエルは笑っていった。


否、涙を堪え、怒りと悲しみを必死に堪えて言っていた。


「……イリーナ?」


イリーナは声をかけられてもずっと膝をついていた。


「………意味ない………なんで……おかし……ユウ……どうすれ……」


何かずっとブツブツと呟いている。と思ったら不意に立ち上がった。


「そっか!私も死ねばいいんだ!」


そう言うとイリーナは大きな鎌を創り出した。


そして、腕を回して自分の首を…


「な、なにやって…!」


アリエルは直ぐに止めに行こうとするが確実に間に合わない。


(ヤバい…!)


ユウトに引き続いてイリーナも死ぬのは…嫌だ。


「お願い、待っ…」


アリエルの静止も聴かず、イリーナは自分の首を斬…


ガキンッ!!


…れなかった。


「あ、あぶね〜」

「……え?」


イリーナは顔をあげる。そこには大好きな顔があった。


「俺は生きてるからな。間違っても死ぬって言うなよ」


ユウトはイリーナの頭を小突いた。


「……うん!」

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