第30話
王宮の中は広く、眼を見張るような豪華な装飾が施されていた。
「なんか気持ち悪くなってきた…」
別に豪華な物に酔ったわけではない。ただ、ゆっくりと歩いてると後ろの騎士から滅茶嫌な感じに押されて、ムカつくからわざと遅く歩いて、また押されてを繰り返してたからだ。
「あ、忘れてました」
御者の少年は片手をなんか格好良く上げると、騎士が俺達の腕を後ろにさせて紐で縛った。
「拘束はさせてください」
そう言ってまた少年はあるき出した。
「では、どうぞ」
少年はある大きな扉にたどり着くと止まって、扉を開き、俺達を先に行かせようとする。縛られてる俺達への配慮か?まぁ
「おかまいなく」
「…は?」
おっと、みんながこっちを見てくるではないか。いや決して行きたくないのではなくて、ただ面倒くさいなぁ〜って…
「へいへい、行けばいいんでしょ」
俺は怖い騎士に睨まれながらおずおずと入っていった。
入るとそこは廊下より一際豪華でもうなんていうか、そうすんごい。凄いじゃなくてもうすんごい。シャンデリアは超キラキラだし、なんか女…あ王女か、が座ってる椅子も何億すんの?ってレベル。
「来ましたね」
そう言うと王女は立ち上がった。
「これより、ソナタ達四人の処遇を決める。全員ーー」
王女は大声で言った。
処遇…?あ〜あの罪ね…俺は無実だよ?
まぁ、ここまで連れてこられたんだから多分、無罪だろうし…。でもなんか要求されそうだな…。適当にあしらって帰るか。
「死刑!この者達の首を刎ねよ」
………ん?
騎士団が俺達を囲み、その代表者4名が剣を持ってやって来る。
あ〜不味いな…
俺達死ぬのかな……なんて思っての不味いじゃない。
先程からおとなしいなぁと思ってたアリエルとイリーナの血管が破裂する音が、耳で聞こえるほど鳴ったからだ。
「やめろ」
俺は静かに言い放った。ここでこの王国を敵に回して自由な生活を奪われるのだけは避けたい。
「ふーん、生かしておくメリットがあるのかな?」
おっと、アリエルとイリーナに言ったつもりが、まさかそっち側に言ったことになるとは…
「あ〜え〜あ〜え〜〜、あります」
「それは?」
……それは?何もないに決まってるでしょ。強いて言えば俺に構っているというデメリットが消えるだけだろ。
「…………」
俺は黙って王女を見つめる。無言の圧。
「……フッ、ないようね」
あらま、バレたか…
「なら、作ってあげます。私の部下になりなさい」
「嫌です」
俺は即答する。
「もちろん、ただではないからね」
「嫌です」
「この王女である私の部下になれるのよ?」
「余計に嫌です」
流石に傷ついたのか、少し涙目になっている。
「……もういい、刎ねなさい」
刹那、騎士から剣が振り下ろされる。
アリエルは馬鹿力で拘束を解いて、剣を破壊。
イリーナは魔法を使って、騎士を焼き殺す。
ルーナはなんか部分的に龍になって刃が通らない。
そして、俺はーーー
スパッと首を刎ねられた……!!
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