第29話
王都ガルディーン
王国内最大の都市で、もうだいっ都会って感じだ。街の雰囲気も明るく、商売も賑わっている。
ここには列車も走っており、交通の便も良さそうだ。どういう原理で動いているのか気になったが、何分馬車の小窓からしか見えないので分からなかった。
街の中に入ってからも馬車に揺られ、進んでいくに連れて周りが豪華になってきた。所謂富裕層地帯なのだろう。
ここのどこかに婿入り…って、俺はアリエルやイリーナ、ルーナがいるじゃないか。
反対の窓からの景色をボーっと眺めている、アリエルの顔は様になっていて、感嘆がもれる以外することができない。
ルーナは馬車の揺れが気持ちいいのか、眠っており、呼吸で上下しているのがなんとも愛くるしい。
イリーナは……街の風景など一切見ず、俺だけを見ている。わ、悪い事ではないんだけどな。
そんなことを考えている内に、馬車が足を止めた。
「ん?着いたのか?」
「はい、着きました。どうぞ、こちらへ」
案内されるがままに外に出ると、思わず感嘆が漏れるほどの豪邸がそびえ立っていた。まぁ、豪邸は豪邸だろう。なんてったって王宮なんだから…
「じゃあ俺はこれで」
俺はくるりと反転して、その場を後にしようとしたが、騎士に阻まれて行かせてくれない。
「さ、行きますよ」
御者の少年がにこにことしながら手招きをする。俺は苦い顔をして、渋々付いていく。
てか、こいつも何者なんだ?普通に王宮に入っていこうとするなんて…
それにさっき馬車の上に乗ってたやつの顔を拝もうと思ったのに、めっちゃ隠れてるし…。そこの塀の影にいるのは分かるんだけどな。
〈条件を満たしました。『空間把握』を獲得しました〉
(空間把握?よくわからんけど使ってみるか)
俺は心の中で念じる。すると、なんかこう、アニメとかで見るような立体格子が自分を中心に広がっていく。
丁度塀の裏に人の姿の影が見え、…ん?おにぎりでも食べてるのか?
そいつは両手で三角のものをもぐもぐと食べているように見えた。
なんか、スパイのような奴がご飯食ってるのって…なんか、なぁ〜
ちょっとがっかりした気分だが、まぁそれはいっか。
俺はなんか文句を言いたげな騎士に押されるがままに王宮へ入っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます