第26話


「やめるのだぁーー!!離せなのだ!」


5、6歳の少女が手足をばたつかせて抵抗する。


「黙れぇ!殺すぞ!」


屈強な男が怒鳴る。


「離せなのだ!」

「うるせぇガキだな…やっちまうか?」


屈強な男はリーダーに提案する。まぁリーダーと言っても二人組なんだけど…


「バカかお前は、身代金要求するのになんで殺すんだよ。いいか?こいつはどっかのボンボンの子供だ。たんまり報酬もらえるからな」

「うす」



(なぁ…思いっきり犯罪だな)


物陰から俺達は覗き込んだ。


(でしょ、いくわよ)

(……御礼貰えそうだし、いってら)


俺は手を振って任せる。


「なんでよ!ユウトも来なさいよ」

「そこに誰かいるのか!?」


アリエルが大声を出したせいで賊に居場所が割れてしまった。


「にゃ〜」

「猫ですぜ、兄貴」

「猫なら…って、なるか!猫真似も酷いところだぞ!いいからでてこい!」


ちっ、俺の必殺『猫声』が決まらないなんて


「だってよアリエル行ってこい」

「なんで私だけなのよ!」

「ねぇ、ユウト、この子どうする?」


俺とアリエルが小競り合いしていると、イリーナが捕まっていた子供の服を掴んで持ち上げていた。


「え…ん?」


俺は賊がいた方を覗くと…


首チョンパされてた…


「お、おう、ナイス……」


俺は初めて見る死体に、気持ち悪くなって倒れて、気を失った。











「ん…ぅん?」

「あ、起きた?」


イリーナがまた膝枕してくれていたのか、真上にイリーナの顔があった。


イリーナはそのまま顔をおろしてきて、俺のおでこにキスをしてきた。目が間近にあってちょっと恥ずかしい。


「てか…ここどこ?」


床がやけにヒンヤリとしていて、さらに目の前にはなんかドラマで見たことあるような檻の格子がある。


「なに、刑務所?」

「うん!でも、ユウト起きたからもういこ」


イリーナは魔力を高める。


「あ〜やめて」


俺はイリーナの顔の前で手を振って静止させる。イリーナは不満そうな顔を一切見せずに、直ぐに辞めた。


「そうだね、今は二人きりだから」


そう言って、イリーナは俺を抱き締める。うん、これはこれで悪くない。


「アリエルやルーナは?」

「違うところだと思うよ」

「なるほどね」

「おい、お前ら」


急に檻の外から呼びかけられる。呼びかけたのは60歳くらいの巨漢の男だ。しかも、立派にも胸には勲章を身に着け、さぞ偉いのだろう。


「はい?」

「出ろ、王女様がお呼びだ」


王女が俺たちを呼んでるだって?


「いやです」

「なっ!?」


いやだって、面倒くせぇし。普通に解放とかなら嬉しいんだけど?


「いいから来い!」


男は俺の襟を掴んで持ち上げる。その時イリーナから殺気がビシビシと感じたので、直ぐにイリーナの手を抑えた。


あ〜ややこしくなるのだけは避けたいな〜



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