超ハズレスキル『働き者』の使い方

第22話

ぽけ～～～

「ーーーーてる？」

ぽけ～～～～～

「ーーー聞こえてる？」

～～～～～

「おーーーい！！！」

「うわぁっ！！煩いな！」

アリエルが俺の耳元で大声で叫んだせいで頭がガンガンする、

「ずっと話してるのに聞いてないからでしょ！」

「え？そうだっけ？」

ま、まあ確かに聞いてなかった気も、するけど、、、

「………なんかあったの？」

「は、は、はぁ！？あ、あるわけないだろ！」

「ふーーん？」

アリエルは疑いの目で見てくる、

俺は気まずくなって目をそらした

「ほら！なんか隠してるでしょ！」

「いやいや、隠してないって！」

そこからにらめっこが始まった。目を剃らさないように、しっかりと見つめる。

「………ルーナ」

「ぶっ！」

急に耳元で囁かれて、不意を突かれたせいで吹き出してしまった。振り向くとイリーナが唇を噛んで頬を膨らましていた。

え？嘘、見られてたの？

「はぁ？どういうことよ？」

「いや、違う！あれは、あれは、その‥‥ほら、その‥‥‥事故というか、事故ではないというか‥‥」

「だからなんなのよ！」

「…………どうしたの？」

アリエルが俺を問い詰めているところにルーナがぬるっと現れて、首をかしげた。

「ルーナ！ユウトになにしたの！？」

アリエルがルーナの肩を持って揺さぶる。

「…………////」

しかし、ルーナは言葉は返さず、ただ顔を赤らめてうつむいた。

「「っ！！」」

アリエルとイリーナはルーナの表情に驚き、アリエルは俺を睨み付け、イリーナはなにやら「‥‥ご奉仕‥‥なかったの？‥‥まだ‥‥要だった？」とぼそぼそ呟いていた。

あ、これ詰んだかも

遠くの方で狼が吠えるような音が聞こえた気がした。

「ふーん、それでキスしたんだ」

アリエルは俺に関節技をきめて、不満そうに漏らした。

「痛たたたっ！ギブ、ギブギブ！」

俺はタップをするも離してはもらえず、逆に力を強められた。

「あぁー！腕折れる折れるっ！！まじで、まじでっ！」

俺の必死のタップが効いたのか、絞める力が弱まる。

「それで？」

「……？」

「だから、それでしたのかって」

「してない、してない！」

俺は全力で首を横にふる。

「…………そう、」

ほっ、と俺は安堵する。

「でも、なんでルーナの時だけあんなに顔を赤くするのよ！」

まだ終わってなかった、、、

「それは、その、、、、ロマンチックさ？」

「…………は？」

「ただ、ヤってるだけじゃロマンチックがないだろ？その、なんというかさ、こう雰囲気が大切なんだよ」

「はあ？じゃあ今まで私にはロマンチックの欠片もなかったわけ！？」

「いや、そういうわけじゃ」

「嘘よ！もう、知らない！私寝る！」

アリエルは怒って寝床にいってしまった。

「はあ、なあイリーナはーー」

俺はイリーナの方を向くがイリーナは未だに何か恐ろしい顔でぶつぶつと呟いていた。

これはヤバいかも

「い、イリーナ？」

「ーーーー、ごめん、私も寝るね」

ぶつぶつ呟いて、急に真顔になってそう答えた。

「お、おう」

俺はただただ、返事をすることしか出来なかった。

冷たい風が吹きつける。

……………寝るか

俺は寝床に向かった。

寝床に着くと、アリエルとイリーナが反対を向いて、その背中の間に一人分の隙間がある。

(俺の寝るとこだよな？)

俺はそっと二人の間に寝転がる。

「なあ、起きてるか？」

ふと、俺は夜空を見上げながら尋ねた。

アリエルとイリーナは返事はしないもののモゾモゾと動いて起きていることを示した。

「なあ、なんでお前らは二人が俺と、その、関係になってるのに疑問が沸かないんだ？」

「「ーーあ、」」

え？気付いてなかったの？