第23話





「んーーーーー」

「むぅーーーー」




現在、アリエルとイリーナが睨みあっている。理由は単純と言えば単純で、まあつまりは俺のことだ。


「で、どっちが好きなの」

「私だよね?」

「私よね!?」

「…………そう言えば思い出したんだけど」

「「今必要!?」」


凄い剣幕で睨まれる。


「ひ、必要必要」


俺はぎこちなく答えてから


「お前ら、重婚がどうとか言ってたよな」

「……あ、……な、なんの話?」

「いや、今気付いただろ」


そう言えば思い出したが、俺達が付き合うときその重婚がどうなのかという話はまとまっていた。


「………じゃあ、ルーナもその仲間に入れろってこと?」


イリーナが静かに尋ねた。


「それは‥‥‥本人がどうしたいか」

「‥‥‥‥やっぱり、ユウトはいいんだね」

「‥‥っ!!」


ミスだった。今の言い方だと俺はルーナとなりたいけどルーナの意志しだいでという意味にしか捉えられない。


「そうじゃーーんむっ、ちゅ、んんっ、ぷはっ」


否定しようとすると突然キスをされる。


「ルーナだけに流れないって約束できる?」

「ああ」

「そう、じゃあルーナだけだからね。それ以上はもうないから」

「わかった」


俺はアリエルの方を見る。完全に納得はいってなさそうだったが了承してくれた。


「聞こえてるんだろ?ルーナ」


ガサガサっと草むらがゆれる。


「………バレてたんだ」


そこからひょっこりルーナが出てくる。


俺は起き上がって、ルーナの方へ歩む。ルーナもまた俺の方へ歩む。


そしてーー



チュ♡




熱い口付けを交わした。





〈ルーナを『愛人』の対象に加えました〉


〈条件を満たしました。スキル『察知』を獲得しました〉


〈条件を満たしました。スキル『察知』は『本能』に進化しました〉




おお、なんかまたスキルが増えたな。


「………『愛人』」

「あ、それ俺のスキルな」

「………うん、嬉しい」


ニッコリとルーナが微笑む。


その日の月明かりが妙に明るく感じた













「よし、じゃあ街に向かうか」


空気の澄んだ清い朝に俺は言った。


「そうね、そろそろ野宿はごめんだわ」

「うんうん、そろそろふかふかのベッドで‥‥‥♡」

「……楽しみ」


俺は苦笑いをしながら受け流す。


何はともあれ、これからの生活に期待して、それを望んでいる俺がいる。


地球とは遠く離れた未知の世界。


そこに広がる空はー





ーー蒼かった






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