第20話




煌めく金色の髪


真紅の瞳


白い肌



なにより、







「痛いっ痛い痛いっ!」


俺は目を押さえて地面を転がる。


何故かというと、アリエルが目潰しをしたからだ。なんだよ、俺がちょっと黒龍が可愛いっぽかったから見てただけなのに


実際にはまだ、輝いてあまりよく見れていない。アリエルの行動が速すぎて、気がつけば目に指が刺さっていた。


しかも、今回に限ってはイリーナも


「ふんっ、」


何故かイライラして、アリエルを止めてくれなかった。



「なんで、服着てないの!?」

「……?ドラゴンに服は必要ない」

「人の姿ならいるでしょ!」

「………そう?」


黒龍は納得したのか、自身で服を作り出した(のだと思う)


「……どう?」

「まあまあね、」


おっと、アリエルは辛口な評価だ。どんな服なんだ?


未だに目が開けられず、全くわからない。


「………どう?」


黒龍は俺……かな?音的に近づいてきた感じがするから俺だよな?……に聞いてきた。


「すま……」

「普通だよ」


イリーナが答えた。あ、俺じゃなかったのね…はずっ!


「………どう?」


今度こそ俺だろう。他にいないし


ゆっくりと目を開ける


「可愛い」


瞬時に言葉が溢れた。


黒くてシックなドレス。白い肌とは対照的に漆黒なドレスがこの上なくマッチしている。


「……そう?ありがと」


黒龍は落ち着いた態度かつ無表情でそう言った。うん、可愛い





さて、


二人をどうしよ?


そこには明らかに殺気を放っているアリエルとイリーナの姿があった。












「なあ、お前名前はあるのか?」


さっきまでは黒龍としか言いようがなかったけれど、今は人間の姿。流石に黒龍とは呼べないな。


「……ない」

「ないのか……それは不便だな」


名前がないとなると、どうやって呼べばいいんだ?


「……じゃあ付けて」

「え?」


何を?


「名前付けて」

「え、まじ?」

「……うん」


名前かぁー、……うーん、そう簡単に言うけど結構名前をつけるのって難しいんだよな~



「ゴンザレス」

「それはない」


アリエルって思うけれど名前をつけるセンスないよな


「キン」

「それはアリエルもだろ」


イリーナも名付けのセンスないよな。金髪だからキン。うん安直すぎだな。


「とかげ野郎」

「泥棒猫」


おっと?なんかおかしいぞ?


「「不倫相手」」

「おい!?」


まだ怒ってたのかよ。しかも正確には浮気相手ってそれも違うっ!!まだ、浮気すらしてないだろ


「……私の名前、フリンアイテ?」

「違うからな!」


俺は怒り疲れて、溜め息を付く。なんか最近運動が多いな。今までもっと自堕落な生活をしていたはずなのに……アリエルやイリーナと会ってからか?


「うーん、っとそうだな………ルーナ、ルーナっていのはどうだ?」



「………ルーナ、いい名前」

「そっか、じゃあお前はこれからルーナな」

「………うん」


黒龍いやルーナは相変わらず無表情だが、ほのかに笑って、嬉しそうにうなずいた。


やっぱり可愛いな


俺はアリエルとイリーナに頬っぺたをつねられながらそう思った。

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