第19話

「………これも耐えるの?」


黒炎の刃の嵐からボロボロだが、悪魔が現れる。


「あははっ、あははっ!」


悪魔は狂ったのか笑いだした。


「………何?」

「あははっ!いやー、ユウトに知られると幻滅されそうで言黙ってたんだけど、私なんだ♪」


不気味な笑顔で悪魔は言った。


「だから、こういう闘いーー







大好きなんだよね♪」


悪魔は一瞬で間合いを詰め、鎌を振り下ろした。


っ!!!


私の右の前足が吹き飛ぶ。


(……この魔力、隠してた?さっきと比べ物にならないくらい強い‥)


斬られた右の前足はほっといたら治るので、今は放置する。


「………本気出す、」


私は魔力をありっ丈膨らませる。体中に規制していた魔力を放出させる。


「私も本気だよすよ!」


悪魔もまた、魔力を全開放するつもりだ。もう、これに至っては単なる純粋な魔力の大きさで勝敗が決まる。


どちらかは滅び、どちらかが生き残る。


それしか選択肢はない。


双方共に膨大な魔力が渦をまく。


「あははっ!じゃあ死んでね!」


先に悪魔が動き出した。私は龍の咆哮を放つためにギリギリまで待つつもりだ。










「あはははははははっ!!!」


私は黒龍に突っ込む。今かつてないほどの狂喜に照らされている。自分の全力を出せる相手。最高。


私は自分の体を呑み込みそうなほどの魔力を鎌に込める。


「あははははははっ!」


そして、それを大きく振りかぶった。


「死んで♪」


私は鎌を振り下ろーー








ガシッ!!!


(えっーー?)


私は抱き締められた。


ユウトだ。


「落ち着け、イリーナ」


ユウトは私をぎゅっと力強く抱き締めてそう言った。


「え?落ち着いてるけど?」


私は戦闘狂だけど、意識が失くなるわけではない。ずっと冷静だ。


「お前、その攻撃放ったらこの世界が滅びるだろ」 

「あ、」


私は鎌を下に下ろす。


なんで気付かなかったんだろう。この世界が滅びたらユウトに会えなくなる。それは絶対にイヤだ。


「ごめんね、全然冷静じゃなかった」

「いいよ、冷静に戻ったなら」


そういってユウトは私の頭を撫でてくれる。あ、もう今日死んでもいい!


「イリーナ!!落ちる落ちるっ!!」


「あ、ごめんね」


私は翼を広げた。


「お、助かった‥‥‥ん?なんで飛べるんだ?」

「え?」


そういえば、あの時は飛べなかったのになんで今は?これもスキルなのかな?


「あ、黒龍は?」

「ああ、それならアリエルが………」


刹那、大爆発が起こった。


「アリエル!?」


空が真っ赤に燃え上がっている。


「いくぞ!」

「うん」


俺達は黒龍とアリエルの方へ行く。ちゃっかり俺はイリーナにつかんでもらって、行ってもらってるだけだけど。



「アリエル!」


砂ぼこりが舞い上がっていて視界が悪く、アリエルの姿が見えない。


だんだん晴れていくと


人影が見えてきた。


「アリエル!!」


そこにはボロボロになったアリエルの姿があった。


「大丈夫か!?」

「大丈夫よ、それより」


アリエルは前方を睨んだ。


「………驚いた。今の咆哮を反らすなんて」


ボロボロのアリエルとは対照的に無傷の黒龍が現れた。


よし、逃げよう。なんかアリエルまで飛べてるし。というか、飛べるならすぐにイリーナのところにいって黒龍と闘うの止められたんじゃね?


「…………」


黒龍はじっとこちらを見てくる。


もう嫌だ逃げたい、そう思っていると


「…………私の負け」


黒龍は急に負けを認めた。


え、なんで?












「じゃあ、料理しよっか♪」


イリーナは包丁を片手にそう言った。


「?食材なんかないぞ?」


周りをみるが、魚も木の実もキノコもない。何を料理にするんだ?


「いや、いるよ?」

「…………、?」


もう一度見渡したが、やっぱりなにもない。



「どこにあるんだ?」

「ここ」


イリーナは後ろを指差す。


ん?そこには黒龍しかいない………っ!?


「お、おい、まさか黒龍を……?」

「そうだよ♪食べたいって言ってたよね♪」


「辞めろーー!!」


俺はすぐに制止する。


「そう?」


そう言うとイリーナは包丁を投げ捨てた。


「じゃあこの龍はどうするの?」

「うーん、どうしたい?」


俺は黒龍に直接聞く。まあ、ほっといてくれとか、解放してくれとかだろうな。まあ、その方が気が楽でいいけど


「……私、貴方達についていく」

「ああ、いいぞ」

「「っ!?」」


アリエルとイリーナが驚いた表情をする。


え?なんか不味いこと言った?黒龍は俺達についてくるって…………



あ、間違えたな。うんうん、どうしよ?


「あーと、えーと、黒龍さんや。俺達街に行く予定なんだけどさ、やっぱり龍だと……」

「………分かった」


おお!分かってくれた!!やっぱり俺って天才だな


「人化する」


「へ?」


そう言うと黒龍は光に包まれた。


あ、これ失敗したやつだな。確実に人になるな




俺の予想道理に人影が見えてきた。



だんだん光が弱まっていく




……………っ!?



現れた黒龍の人化は、






服を着ていなかった



まあ、龍は服なんか着てないもんね…


それにしても






ーーーー可愛い







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