第13話

「馬鹿じゃないの!!なんで叫ぶのよ!」

「流石あれは……」


俺は必死に走りながらヤイヤイと言われる。仕方ないじゃん!叫びたくもなるだろ!デスポイズンスライムだぞ!


「『状態異常無効』もってるんでしょ!?いけるわよ!」

「はぁ!?お前も持ってるだろ!『愛人』のやつで!それならアリエルがやれよ!」

「………無理」


はっきりと拒否する。


「そうだろ!!だいたい、毒が塞げても、普通の攻撃で死ぬわ!」


「ユウト!後ろ!!」

「え?」


イリーナが叫んだ。後ろはスライムが……


チラッと後ろを見ると、スライムが俺目掛けて跳んできた。それも5体とも。


「ぎゃぁーーーー!!!」


俺の悲鳴も虚しく、スライムに全身食われる。


「「ユウト!!!」」


アリエルとイリーナは急いでどうにかしようとするが、武器すら持っていないので何も出来ない。


俺は死を覚悟するが、なんとか『状態異常無効』のお蔭でまだ溶かされていない。しかし、このままでは窒息死してしまう。


「ぅぅぉぉおああ、いゃぁあ」


必死に手を振り回すが、スライムにダメージを食らわせている気配はない。アリエルとイリーナも木の枝で攻撃しているが全く効いていない。


(ヤバい!動いたせいで息が……)


呼吸が苦しくなってくる。


〈条件を満たしました。スキル『水中呼吸』を獲得しました〉


わお、なんてタイムリー。ラッキー


そんなことを思っていると、急にスライムが俺から離れていく。いや、離れていくというよりは萎んでいった。そしてそのまま消えてしまった。


「「「え?」」」


俺達三人は呆然と立ち尽くす。正直なにが起こったのか全くわからない。


「えーっと、……なにが起こったんだ?」

「………わからないわ」

「急に……倒したらのかな?」





〈条件を満たしました。神室優斗がlve.100を越えたのでアリエル、イリーナのユニークスキルを解放します〉


「「「え?」」」



レベル100?今のでそんなにいったの?てか、俺達が倒したことになってるのか?


〈アリエルはユニークスキル『天ノウラノス』を獲得しました〉


〈イリーナはユニークスキル『魔のヘラー』を獲得しました〉



え?どっちも神様?凄くね?



〈これより、力の解放を行います〉



そう言われると、アリエルとイリーナの体が少し浮く。そして、少し輝いた。


「うぁぁあぁーーーー!」

「うん、ああぁぁーーー!」


二人になんか力が解放されている感じが凄くする。

しかもなんか………エロい!


「うん、ああぁ、そ、それ以上はぁ」

「あぁん!そんなに!?」


そのまま数分間力が解放され続けた。










「大丈夫か?」


ぐったりとした二人を支えながら聞く。


「あはは、ちょっとキツいかも……でも、ユウトとくっ付けて幸せ!」


うん、イリーナは元気だな


アリエルの方は疲れてもう、気を失っているようだ。


俺はイリーナを座らせ、先にアリエルを持ち上げ、さっき草を敷いて作った寝床に運ぶ。


(軽いな)


素直にそう思ってしまうほど、意外と軽かったので楽に運べた。


アリエルを寝床で横にさせた後、すぐにイリーナの所へ戻ると、流石にキツかったのかイリーナも気を失っていた。


こちらも軽々と運び、寝かせた。



「ふぅー、後は………お前だな」


俺はまたひょっこりと現れた猫、ネロの方を見る。なんでそんなことをいったかと言うと




いや、それっぽいこと言いたかっただけだからな。分かってるだろ?



「ほう、気づいていたのか」


木の影から人影が現れる。黒いローブを纏った者だ。


いや誰?俺がなにに気づいたの?


「ソナタらは面白い者だったからな、すこし見させて貰ったよ」


ローブを纏った男(声的に)が高らかと言う。え、ストーカー?


「ソナタらは強い、強い、強い!だが、惜しい。ああ、儚い。ソナタらという強者と巡り逢えたというのに、ああ、なんてことだ」


なんか1人の世界に老け込んでいる。うん、確信した。こいつヤバい奴だ。


「で、何?なんか用なのか?」

「いいだろう。戦ってやろう、我の真の姿を見せてやるわ」


うん、会話が成立してないね。てかなんで戦うんだよ。俺超弱いぞ?


そんなことをお構いなしに、ローブの男はローブを取った。


「………骸骨?」

「そうよ、我は極めに極めて死なずに最強の魔法使いとなったのだ!」



「ダークウルフにゃんいくんだ!」


多分猫の名前だと思うが、それに声をかけた。すると、猫は巨大な体になった。


「嘘、だろ」


それは明らかに3m以上ある。ていうか……狼?


俺は諦め半分でその辺に落ちていた手のひらサイズ石を拾う。


「おりゃぁーーー!!取ってこーい」


そしてそれを全力で投げた。そいつが犬だと信じて


「ふ、犬ではあるまいし……「ふぎゃぁ!!!」……何、だと」


「あ、ちゃー」 


結果的に俺が投げた石は、まさかの犬に当たってしまった。しかもそれは一撃で体の一部を吹き飛ばした。


いやー、ナイスピッチング。狙ったんだからな!


「嘘、だろ、ランクssの魔物だぞ…」


なにやら骸骨はべちゃくちゃと呟いている。


それを無視して俺は骸骨にも目掛けて石を投げる。


「何!?」


それはちょうど骸骨の頭部に当たり、木っ端微塵に砕け散った。


「あー、なんか、倒せたな」


俺は一応ステータスボード見る。レベルは367。そりゃあ強いわな。


俺は、寝床に寝転がる。後で面倒くさいので一応、アリエルとイリーナの間に。


「ふぁーあ」


あくびがでる。今日だけでも凄く疲れた。


あーあ、ステータスはリセットか。


俺はそう思いながらも、眠りについた。



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