第12話

俺は、空が広く見えるところに寝そべる。今日は晴天だったためよく星が見える。この星のどこかに地球もあるのだろう。


…………なんかそれっぽいこと言ってみただけ


「どうしたもんかねー」


独り言のように呟く。


「何がよ、逃げたくせに」

「返事はどうかな?」


アリエルとイリーナは俺に声をかけ、俺の両隣に腰をおろしてきた。


「考え中」


だいたい一人で考えたいからこうやって一人になってたのに来たら意味ないじゃん。


「じゃあお前らはさ、どうするつもりなんだ?」

「なにが?」


「例えば、アリエル。俺がイリーナを選んだとしてお前はどうするんだ?」

「えっ♥️」

「え……」


イリーナは明らかに嬉しそうに、対してアリエルは淋しそうな表情をする。


「いや、逆の場合もあるんだぞ」

「え……」


イリーナは失意のドン底のような表情をする。


「だろ?結局、どちらかが可哀想になるだけだからな」

「………じゃあ、一緒に付き合えばいいんだよね」

「………いや、それは……うん、ちょっとな。男としてどうなのかと‥‥」


やっぱり日本にいた限り重婚はちょっとな。


「こっちは異世界なんだよ?そこんとこわかってる?」

「…………」


そ、そうなんだけどさぁ。うーん。


俺は顎に手を当てて考える。


〈条件を満たしました。スキル『思考加速』を獲得〉


また、なんかスキル獲得しちゃたよ…スキル習得って簡単なんだな。


「ねえ、ユウト考えてる??」


アリエルが怒ったように言ってくる。


「じゃあ………お試しでいいか?」

「「お試し?」」

「そうそう、俺はお前らのこと好きか分からんし、試しに付き合ってみるってこと」


「………分かったわ。それでいいわよ」

「私もいいよ!絶対惚れさせるから」


二人は納得してくれる。


まあ、結果オーライか?


〈条件を満たしました。スキル『愛人ミストレス』を獲得しました〉


〈『愛人ミストレス』を発動します。アリエル、イリーナに効果付与します〉



………………???


何故か、またスキルを獲得した。『愛人ミストレス』?また変なスキルだな


「ちょ、なに?スキル『愛人』?なによこれ!?」

「私にもあるよ?」


二人は急にスキルが付与されたことに驚愕している。


「あー、なんか俺がさっき獲得したから…何故か」

「そ、そうなの!?」


アリエルは驚いて声をあげる。


「スキルの効果って分かるの?」


イリーナは尋ねてくる。


「うーん、取り敢えず『ステータス』」


俺はステータスボードを開ける。




神室優斗  lve.1


スキル


『働き者』『状態異常無効』『観察』『愛人』


パスト:アリエル、イリーナ




おお!なんか増えてるな。パストっていうのは繋がりか?


「え、ユウトのステータスボードみれるんだけど」

「本当だ、あ!パストが繋がってる!」


アリエルとイリーナが俺のステータスボードを見てくる。さっきまで見えなかったのに。パストが繋がったからか?一度パストをタップしてみる。


ほうほう、パストとはパーティーみたいなもんだな。仲間認定したら繋がる感じなんだな。


……っていうかタップしたら詳細見れるのかよ!


俺は『愛人』をタップしてみる。するとー



『愛人』


パストが繋がっているかつ異性の相手との繋がりを強化するスキル。その相手とスキルの共有、経験値の共有が出来るようになる。ただし、スキルの共有は共有できないものもあり、人それぞれによって異なる。




へぇー、結構いいスキルじゃん。俺が何もしなくても経験値が入るってことだろ?


「いや、ユウトが働かなかったらずっとレベル1だから!」

「いや、なんで何も言ってないのに伝わるんだよ!」

「顔見れば分かるわよ」

「うそーん」


そんなに俺って分かりやすい?


ん?


俺は視界の端に黒い物体があるのが見えた。


「なんだあれ?」

「どれ?」

「あれ、あの黒いの」


指を指した方向に黒い物体が5つ程ある。こんなときこそ『観察』だな


俺はスキル『観察』を発動する。


〈条件を満たしました。スキル『観察』はスキル『鑑定』に進化しました〉


うわー、なんか進化したぁー。まあ、いいや。それより



デスポイズンスライム lve.103

デスポイズンスライム lve.137

デスポイズンスライム lve.108

デスポイズンスライム lve.113

デスポイズンスライム lve.158



よし、逃げよう!


俺はサッと後ろを向く。


「ちょっと待ちなさい」

「いやです、逃げます」


すぐにアリエルに袖を掴まれる。


「あいつらレベル2越えてるんだから無理だろ!」

「なんでレベル2が基準なのかは分からないけれど、あのスライムを倒したらレベル100いくんじゃないの?」

「はっ!そんなわけないだろ」

「なんでよ」


普通、どんだけ強くてもレベルがあがるのは経験値だから強い魔物でも一気に100あがるほどの経験値は持ってないの!ファンタジーの鉄則!


「ねえ、あれいけるんじゃないかな?」


イリーナがこんなことを言い出した。馬鹿なのか?レベル100以上なんだぞ?こっちは1なんだぞ!?


「一回鑑定してみて」


俺は仕方なくもう一度鑑定する。今回はデスポイズンスライムを一体に絞って



デスポイズンスライム lve.108


デスポイズンスライムはスライムにおける超希少種であり、出逢ったら凄く運が良いと感じる。



おお!名前がデスとかついてるからヤバい奴なのかと思えば、運が良いってことはもしかして弱くて高く売れたりすんのか!?


俺は興奮して続きを読む。




体内に入るもの全てを致死の毒で分解する。出逢って生きた者はおらず、皆今までは運が良かったんだと思って骨も残らず消える。



運が良いと思うって今までが最高だったって思うことかよ!てことはコイツに逢ったら超最悪ってことじゃねぇーか!!


ちょうどたまたま通った猪があっという間に消え去った。元々いなかったかのように


「嫌だ!死にたくない!」


気づけば俺は確実にスライムにまで聞かれるほどの大声で叫んでいた。






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