第11話







「「ユウトぉぉぉぉーーー!!!!」」


俺の体はもう言うことを聞かない。


瞼は重くなって、俺の瞳を閉ざした。


さようなら。アリエル、イリーナ。


俺の意識はそこでぷつりと切れた。













「うわぁぁぁーーーユウト、ユウトぉぉぉーー!」

「う、嘘でしょ?嘘だよねえ?ねえ起きてよ、起きてよユウト...ねえ起きてよユウトぉ..」


イリーナはユウトの首に手をまわし、わんわん泣く。アリエルは未だ、ユウトの死が受け入れられず、涙を流しながら、体を揺らす。


「うわぁぁ~~ん!!ユウトぉ~~!」

「ユウトぉぉ」


彼女達の泣き声は森中に広がる。





そんな中ユウトは



起きるに起きられない状態で、冷や汗をかいていた。















死んだなこれは。最後にそう思い、永遠の眠りにつこうとした時急に頭に声が響いてきた。


<条件を満たしました>


<『毒耐性』『麻痺耐性』『腐食耐性』『火傷耐性』を獲得しました>


<条件を満たしました>


<『毒耐性』『麻痺耐性』『腐食耐性』『火傷耐性』を統合し、スキル『状態異常無効』を獲得しました>



だんだん痛みが引いてくる。あ、これ助かるやつだ。


意識もだんだん戻ってきて、クリアになってくる。


良かった。助かった。








そして現在


どうしよぉぉぉーーー!いや、これ起きれないんだけどぉ!?だって俺さっき二人に「大好きだぜぇ」とか言っちゃったんだぞぉ!正直異性として好きなのかは分からないが……


不意にアリエルとイリーナの顔が脳裏に浮かぶ。

キスをしたときの唇の感触が鮮明に浮かぶ。


???イリーナは置いといて、アリエルって俺のこと好きなのか?今までガミガミ言ってるイメージしかないけど……なんで俺にキスをしたんだ?


まあそんなことより今どうするかだな


もういっそのことアリエルの起きてよで「何?」みたいで起きようかな?・・・・・・殺される未来しか見えないな。


………………っ!!


そうだっ!いいこと思い付いた!


キスだ


キスしてくれたら起きよう。王子様のキスで起きる姫。の逆バージョン。これでいこう。


そうと決まればさっさとキスをしてくれぇ!


しかし、きて欲しい時にキスはこない。というか普通こない。今までが少しおかしかっただけだ。


「にゃー」


ネロが鳴く。そういえばネロって今までどこにいたんだ?滝に落ちた後そういえば姿見てなかったけど……


ブォォォー


なんか煙たくなっきた。火でも焚いてるのか?何のために?


………………っ!!


よし、起きよう!じゃないと俺が死ぬ!


目をゆっくりと開ける。


「……え?」


イリーナが俺が目を開けたのに気づいて驚き固まる。


「どうしたの、イリー………」


イリーナが疑問を口にしたことが気になって、アリエルは顔をあげた。そして、俺と目があう。


「ユ、ユウト?」


「あ、ああ」


恥ずかしくなって、目をそらしながら言う。


「ユウトぉ!!!」

「ユウト、ユウトぉ!良かった、良かったよぉ」


二人は泣きながら抱きついてくる。はやく起きれば良かったな。


自然と俺の目から涙がこぼれた。


俺達三人はしばらくの間、頬を濡らしながら喜んだ。










この日俺達はずっと泣いていて、あっという間に日は暮れていた。


「そういえば、どうして生きてるの?」


落ち着いたイリーナが尋ねてくる。


「スキルを獲得したからだな『状態異常無効』っていう」

「へぇー、流石だね」

「そういうところは運がいいのね」


感心してうなずいた。


「それでさぁ、」

「うん?」

「どっちをとるの?」

「なんの?…………っ!」


俺はその意味に気がついて、顔が熱くなる。落ち着け、冷静になれ


「え、っとさ……その、二人はさ、そのー俺のこと好きなのか?」

「好きだよ」


イリーナは即答する。


「ほ、本当に?」

「本当だよ」


イリーナの目を見て聞くが、凛とした表情で返される。


「そうか、・・・あ、アリエルは?」


アリエルの方に尋ねると、アリエルはビクッとして顔を背ける。


「ど、どうなんだ?」

「……よ」

「え、?」


顔を背けながら小さな声で何かを呟いた。


「あーもう!好きよ!好きなのよ!」


アリエルは顔を真っ赤にしながら、叫ぶ。


「そうか………」


聞いたこちらも恥ずかしくなってうつむきながら小さくこたえる。


返事、どうしよう。二股……は最悪だよな。


「…………よし」


俺は決心したように顔をあげる。イリーナとアリエルは緊張したように構える。


「……………寝る」


「「………ええっ!?」」
































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