第6話

「じゃあサクッと殺ってくるね♪」


「待て、」


あーもう、忘れてなかった!


俺達は昼食の焼き魚(味付け一切なし)を食べ終え、さっきの殺すという話は忘れていると思っていたが、全くだった。


よし、天才俺、考えろ!どうすれば切り抜けられる?


「俺はこの時間昼寝の時間と決まっているんだ。だが、俺は枕がないと寝れない。だからー」

「膝枕だね!」


枕を造ってくれ。という前に、イリーナがウキウキした声で言った。


なんか思ってたのとは違うけど、これはこれでいいか










「あんた、なんでこんなやつのどこが好きなの?堕星よ?」


ユウトがイリーナの膝で寝たタイミングを計ってアリエルが聞いてきた。


なんで分からないのかな?ユウトは最高にかっこよくて、天才的で、もはや神様を越えているのに……


「どこって全部だよ」

「ふーん」


自分から聞いといて興味なさそうに返事を返してくる。一発ぶん殴ってやりたくなる。


「あなたは出ていかないの?ユウトのこと嫌ってるんだよね」

「………出ていかないわよ」


くそっ、さっさと出ていけよ。私とユウトとのいちゃラブ生活にいらねえんだよお前は。


そうは思っても一応加護であるため、出ていくことは不可能だ。まあ、多分アリエルならそんな契約は自力で切ることは出来るだろうが、何故かこいつはしない。訳が分からない。


あー、イライラする。こういうときは


私はユウトの寝顔を見て頭を撫でる。あー、大好き。










私の名前はアリエル。両親はどちらも三大天であり、私は他と卓越した力を持っている。三大天というのは、天使界で最強の天使に与えられる大変名誉な称号だ。三大といっている通り、与えられるのは三人。この内の二人が私の父と母ということだ。


幼い頃から戦闘の訓練はしており同世代はおろか、学園のときは入った直後にトップになった。それも圧倒的に。


この分妬みとかもあったが、何より絶対的な力だったので襲ってくるような輩はいなかった。


そんな私には夢があった。それは……




王子様と結婚すること!


私を守ってくれるような、王子様。絵本に出てくるような王子様。そんな王子様に私は憧れていた。


そして、そんな時召喚されることになった。それはあっという間で、気がつけば神様と知らない男がいた。


男は上の下くらいの顔だったが、本能的に王子様だと思った。なぜなら一時召喚ではなく加護だったからだ。いままで、聞いた話によると私達天使を一時召喚出来るスキルは最低で星4だった。つまり、加護にするには星5はかたく星6でもありえるほどだ。


なのに、なのに奴は堕星だった。


もう最悪。



何故か召喚されたのは遅かったし、召喚されたはされたでいきなり一緒に召喚された悪魔はそいつにキスするし、もういや。


はやく何処かに行きたい。行きたいけどー




怖い




ひとりぼっちとか無理。お化けとかでたら死んじゃう

さらに最悪なことにぬいぐるみがいない。私はぬいぐるみがいないと眠れない。今まで本当はパパやママ、妹と寝たかったけれど、恥ずかしくて言えなかった。だから大量のぬいぐるみを買って怖さをまぎらわしていた。


そんなわけで今はどうすることもできない。あーパパとママに逢いたい









私の名前はイリーナ。悪魔界最強と謳われる父とただの一般の母を持っている。神様の情報でいうとアリエルは両親どちらもが三大天だそうだから、一般の母を持つ私の方が能力的にも劣っているはず。なぜなら母は学園でもしたの方だったと言っていたし、たとえ父がどんなに強くても半分は母の遺伝なので確実に弱くなる。


一度父に、身分にも差がある二人がどうやって出会ったのか聞いたことがある。しかし、言いたくないの一点張りで聞けなかった。


母によると、父の姿をパレードを見た母が一目惚れをして近づいて、いきなり告白した。しかし、それはすぐに断られた。そこで母はーー







父を監禁した。そして愛した。来日も来日も愛した。それが一年ほど続き、結婚したそうだ。


全部聞いたと父に言うと、父は「俺は最強じゃない。ユリア(母の名前)の拘束からは全く歯が立たなかったし、万全の状態でも勝てなかった」と言っていた。


多分手加減があったのだろう。



幸せ?と尋ねたら、父は笑って幸せだからな。出逢いはあれでも料理もうまくて美人のユリアやイリーナのような可愛い娘がいるからな。といっていた。(その日は何故か豪華な料理になって嬉しかった。なぜか父は挙動不振になったかと思えば、安堵したのかほっと息を吐いていた)



召喚されて初めてユウトにあった時運命だと思った。今まで告られたことは何度あったが、誰かを好きだと思ったことはないかった。けれどこの時は一瞬で好きだと思った。母も父をパレードで見たときこんな感じだったのだろう。


それから召喚されるまでは長かった。ずっとウズウズが止まらなかった。


召喚されたときはもう気持ちが止まらなくて、思いっきりキスをした。彼の口は男らしくて最高だった。ああ、もう一度したい。次はこれ以上にしたい。



私はもう一度寝ているユウトの顔を覗き込む。やっぱり可愛いし、格好いい。ああ、何がなんでも手にいれる!












〈『契約』を破棄しますか?〉


は?何の契約?まあ、いいや。破棄、破棄













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