第5話
「なにが起こるんだ…」
魔方陣は光輝き、直視できないほど眩しくなる。
「やっとだ♪」
「げっ、」
光が収まったので、そこを見るといつぞやの女の子二人がいた。
黒髪と金髪の女の子。天使と悪魔。どっちが天使で、悪魔かは知らんけど(多分金髪の方が悪魔、なんとなく)……ん?
よく見ると、二人の女の子には翼が生えていた。前は無かったのに。
黒髪の方は漆黒の翼(なんか○木楠雄に出てきた言い方だな)、金髪の方は純白の翼。
まさか、金髪の方が天使なのか!?
そんな変なことを考えていると、黒髪の女の子が近づいてきた。
そして、俺の目の前まで来てー
「もう、遅いよ」
「へ?」
チュ♥
そう言って彼女は俺にキスをした。え?キス?う、嘘だろ!?
俺のファーストキスだぞ!?
俺は頭が真っ白になる。それでも彼女は離さず、舌を入れてきた。
ちゅる♥
やばい、蕩ける....。そう思ってしまうほど彼女のキスは甘い。
そして、唇が離れる。名残惜しそうに糸が少しなびく。
そしてもう一度キスしてこようした、が。
「何やってるのよ!いきなり、キ、…ス、なんかしてるのよ!」
二人の間に金髪の女の子が割ってはいって来た。
「もう、邪魔しないでよ」
「邪魔もなにもなんでいきなりキスしてるのよ!」
「それは私達が愛し合ってるからに決まってるじゃん」
全然決まってないけど?いつから愛し合ったんだよ
「いや、あんたあの時が初対面でしょ!?」
「目が合って分かったんだ。私達愛し合ってるんだって」
黒髪の女の子は目をとろんとさせて、よだれを垂らしながら言う。
うわー、やばい感性。こういうのがストーカーにつながるんだろうなー。金髪の方も同感のようで、若干引いてる。というよりはかなり引いてる。
ところでさ、何か気づくことない?
あるよね?うんうん、あるある。
え?わからない?いや分るだろ。あのことだぞ?
さっきからずっとーー
ーー名前がさっぱり分らん
金髪とか黒髪とかそんなのでしかいえてないじゃん?俺。
ほんとはすごく聞きたいんだけどな~。え?早く聞けよ!って?
....‥‥‥‥‥.タイミング逃した。
いやー、なんつうか、その。ね?会ってから結構経つじゃん?聞きにくいんだよねー、....キスもしたし....
いまさら「名前なんつうの?」とかさ。あっちから名前言うの忘れてた、とか言ってくれたら、こっちだってそうだったなってそういえば的な雰囲気作り出せるじゃん?
「ねえユウト」
………はぁ!?なんで俺の名前を!
「ちょっと、ユウトは私の夫なんだよ!?」
「だから何でそうなってるのよ!」
夫なのもそうだけど、なんで俺の名前を知ってるんだよ!仕方ない
「はぁ、なあお前らの名前ってなんだ?」
「はあ!? この天使様の名前を知らなかったの!?」
金髪が声をあげる。やっぱりこっちが天使だったのか
「私はイリーナ」
「私はアリエルよ」
黒髪がイリーナ、金髪がアリエルか。よし、俺の記憶力よがんばれ。
「にゃー」
「ん?お前も名前?」
「にゃー」
俺が召喚したときびびってどっかに行っていた猫がいつの間にか戻ってきていた。
「んー、そうだなー」
「ベルネッティー!」
「にゃ!」
猫はアリエルに飛び付いて引っ掻く。よっぽど嫌だったんだな。
「痛い!何すんのよ!この糞猫!」
「シャー!」
二人は仲良く喧嘩している。
「プリンセスなんかどうかな!」
「シャー……」
それも嫌だ!みたいにイリーナのところ飛び付こうとしたが、何故か怯えて俺のところに飛び込んでくる。
なぜ?と思ってイリーナの顔を見ると一瞬で分かった。
顔はニコニコしているのだが、来たら殺すという雰囲気をかもしだしている。オーラだけで魔物も殺せそうだ。
「えーっと、ネロ。お前の名前はネロな」
「にゃあ」
猫はそれそれみたいにすりすりしてくる。可愛い
じーーっ
ん?視線を感じる。
感じる方を見るとアリエルがいる。俺が見るとアリエルはふいっとそっぽを向く。もしかして
「触りたいのか?」
「べ、べ、べつに触りたいわけないじゃない!そんな猫」
これまた分かりやすく狼狽えるな、
「はい、優しくだぞ」
「ふ、ふんっ」
ふん、とか言いながらもネロを優しく抱っこしている。本当は猫好きだったのかよ。
「私も~!」
イリーナもアリエルに抱かれているネロの頭を撫でる。
やっぱり猫は最高だな ※実は超猫好きだった。
「…………腹へった」
「じゃあ魚とって、料理してあげる!」
「よろしく~」
おお!流石!これは本当イリーナと結婚してヒモになってもいいかもな。
「で、あんたはなんでこんなところいるのよ。他のクラスメイトいるでしょ?そこに星4がいるなら仕方なくそっちに付いていくから」
人が理想の未来について考えている最中にアリエルが宣言してきた。そういえばこいつ、俺が堕星だって知ってからかなりしょげてたな。
「クラスメイトはここらにはいないぞ」
「はあ!?なんでよ」
「そんなのクラスメイトに裏切られて?まあ、そんな感じで谷に落とされて気がつけばここに、みたいな。だからあいつらがいまどこで何をしてるかはしらねえよ。まあ、家造ってたからこのまま川を登ってたらいつかは出逢えると思うがな」
「ふーん」
ばッシャン!
何故か後ろで水が溢れる音がした。そちらに振り向くと見たこともないような恐ろしい顔でイリーナが立っていた。
「ど、どうした?、おっ、大量だな、さ、流石…」
落とした場所に生きた魚が大量にピチピチ跳ねている。が、イリーナは拾う素振りもない。
「それは本当?」
「えっと、何が……」
「谷に落とされたっていうの」
「ほ、本当だけど?」
「………そっか」
そう言うと、イリーナは何処からか大きな鎌をだす。
「えーっと、イリーナさん?」
恐る恐る、イリーナに話し掛けると、
「大丈夫、谷落とした
あ、やばいやつだこれ。アリエルも引いている。
「ちょーっと、ストップ」
「なに?」
「腹へったから先飯で」
「っ!?私としたことが、すぐに準備するから!」
よし、一軒落着!俺って天才。
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