第4話








「........ここは」


日の当たる眩しさで目が覚める。服はびしょびしょで、体はだるい。.....助かったのか。


俺はだるい体を無理矢理起こす。そして服を脱いで、パンツ一丁になる。その辺に落ちている、木の枝や枯れ草を集め、火を起こす。....火を起こす.....摩擦熱で火を....起こせん!!!


「どうやって火って起こすんだよ」


投げやりになって寝っ転がる。もうどうでもいいや。


「にゃー」


ん?猫か?


起き上がってみると、俺の隣に猫がいた。でもなんか変な猫だな。


濃い紫色の毛並みに、体に変な模様。うん、どう見ても普通の猫じゃないな。


俺は猫に手を伸ばし、頭をなでる。


「お前がここに火でも噴いてくれたら最高なんだけどな」


冗談めかしてそんなことを言ってみる。


「にゃー」


対して猫は頭を撫でられて喜んでるだけだ。まあ、そんな都合のいいことはないよな。


俺はもう一度、木の枝をとる。


「うりゃぁあああーーー!」


擦る、擦る、擦る。


するとようやく火種ができた。それを枯れ葉につけ、ゆっくりと息を吹きかける。


が、


「消えたぁぁ!」


火種はすぐに鎮火してしまった。


「………………はぁ」


深い溜め息が出る。すると猫が俺のところに近づいてくる。


ああ、俺を慰めてくれるのかぁ!


と俺は手を広げて待つが、猫は俺のわきを通り、枯れ草があるところの前で座る。そして、


ブォァ


口から火を吐いて、枯れ草に火を着けた。


その後、俺の方を見た。なんか、ドヤァみたいな顔が腹立つ。てか、そんなこと出きるんだったら始めっからやれよ!








俺は服を乾かし、もう一度寝転がる(猫は俺の腹の上で寝ている)。日は丁度真上にきている。俺が落とされたのが、夜だったので結構流されたのだろう。


「ステータス」


これは自分のステータスが見れる、呪文のようなものだ。といっても、俺は初めてこれを使った。理由は見るのが面倒くさいかったから、以上。


まあ、それはおいといてステータスを見る。



神室優斗  Lev.1


スキル

『働き者』




…………これだけ?情報量が少なすぎやしないか?

普通こんなものなのか?HPとかMPとかないのか?


俺は画面に向かってスクロールする。


すると、


"導かれ、天の声。破滅を呼ぶ、悪魔の囁き。天と悪の天地変動。この世にきたれ、『天悪』!"


こんな文章がでてきた。


「えー、なになに。みちびかれ、天の声?破滅をよぶ、あくまのささやき。てんとあくのてんちへんどう…、このよにきたれ、てんあく?」


なんだこの文章。全く意味が分からん。


が、その瞬間辺りが光輝いた。


「なんだ?」


地面には魔方陣のようなものが現れる。そして、より一層光輝いた。












「あれ?優斗くんどこいったんだろう?」


家造りもあらかた終わり、優斗が寝ていたベッドにいったのだが、優斗はいなかった。


「ちっ、逃げやがったか」

「あははー、優斗くんは危険察知が凄いからね」


懲りずに説教をしようと、一緒にきた源内は歯軋りをする。


「でも、どこ行ったんだろうね」

「さあ、適当にふらついてるだろ」

「………ありえそう」


少し考えた後に頷く。


「まあ、夕食になったら戻ってくるから、その時にみっちりしごいてやる」

「あ、あはは~大変だね優斗くん。あれ?朔哉くん?どうしたの?」


家がある方の反対側から朔哉が歩いてきた。


「ん?ただ散策してただけだ」

「そうなんだ、あ、優斗くん見てない?」

「いや、……いないのか?」


朔哉は心配そうに尋ねてくる。


「うん、でもまあ、夕食になったらしれっと帰ってくるでしょ」

「う、ああ、そうだな……」


歯切れの悪い返答が帰ってくる。気のせいかな?


「僕達も夕食の手伝いしよっか」

「そうだな」


僕達は家の方へ戻る。



「夕食の前に部屋割りを決めよう!」


女子のリーダー的存在の天川さんが言い出した。


「「「賛成」」」


現在、家は8つある。人数は全員で36人。つまり、4人の家が4つと5人の家が4つになる計算だ。


「男子と女子は分ける?」

「分けた方がいいんじゃない?」

「でも、危険じゃない?」


家は8つあるが、立地上少し離れている。魔物に襲われた時、女子だけだと対処できない可能性があるのだ。


「じゃあ全員で多数決を…」


天川はそう言おうとするが、男子の目を見ていい淀んだ。


「女子だけで、多数決しましょ」


男子のほとんどが膝をついた。


多数決の結果、男女半々にすることになった。やはり、力面で心配なことがあるからだ。


「で、どうやって決めるの?」

「………女子が男子を指名する」

「おかしいだろ!!!」


田中が叫んだ。


「そんなの、イケメンを選ぶだろ!」

「なに言ってるの!総合的に判断するわよ!」


言い争いが始まる。特にクラスカーストの低い男子がもう抗議を始める。が、あっという間に言いくるめられた。


「じゃあ、男子は2~3人でペアを8つ作って」



「これで、オッケイ?あれ?人数たりなくない?」

「優斗くんと一緒のつもり。まだ、帰ってきてないから」

「そっか、了解」


そして、男子にとっては運命の時間がやってきた。



「頼む~~!若林!いや、若林様~!俺をその班に!」


田中は若林の服を掴んで離さない。理由は、若林の班には、綾音と日菜ついでに浩成がいるからだ。


「駄目よ、ルール違反」

「そんな~~」


田中は天川に引きずられて、運ばれる。


「まあ、若林くんなら大丈夫だね。手なんか出さなそうだし。松井くんは幼馴染みだし、優斗くんは……出さないでしょ」

「あ、あはは……」


困った顔で笑い返す。まあ、もちろん手なんかだすわけないけどね。


「優斗はまだ帰ってこないの?」

「そうだな、あいつ何やってるんだ?」

「まあ、帰ってくる、よね?」

「大丈夫だろ」


みんな、ふらっと優斗が帰ってくると思っていた。


しかし、結局その日、優斗が帰ってくることはなかった。というよりは、その後帰ってくることはなかった。













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