第2話
「ん?ここは?」
目を覚ますと、緑に生い茂った深い森林の中にいた。太陽…かどうか分からないが光が差し込んでくる。俺はバンパイアなんだよ。光は敵。夜こそ正義。
(いやだ~。めんどくさ。誰か俺を見つけてくれ~)
「あ、優斗起きた?」
誰かが目に入る光を塞ぐ。逆光で誰の顔か分からない。いやー、にしてもやっぱりイケメンオーラがあると起きる前から見つかってたんだな。
「んあ?綾音か」
「そうだよ。というかびっくりだね、転移しちゃうだなんて」
「ほんとだよ。だりーわー」
佐倉綾音。俺の幼馴染みだ。俺とは違って真面目な性格だ。しかも超可愛い。茶髪のポニーテールで、でるところはしっかりとでているパーフェクトボディを持っている。俺のクラスの人気女子ランキング堂々の第一位。
「お?優斗そこにいたのか」
「おお、ヒロか」
次に現れたのは、松井浩成(まついひろなり)。こいつも幼馴染みだ。こいつははっきりいって……イケメン、俺の次に。身長は175センチ、……俺は173センチ‥ちょっと低い方がいいんだし。部活はサッカー部かつエースでキャプテン。俺だって帰宅部のエースでキャプテンだ。
「みんな、洞窟に集まってるから行こうぜ」
「分かった、おぶって」
「嫌に決まってるだろ」
「ッち、ケチ」
いつもののりで言うがあっさり断られる。
俺は仕方なく綾音とヒロの後についていく。
「優斗はなんのスキルだったんだ?」
「あー俺は『働き者』」
「は!?お前が一番使えなさそうなスキルだな!ランクは?」
「堕星」
「なんだそのランク?」
「私も知らないよ?」
ヒロと綾音が頭にハテナを浮かべる。そりゃあ「rd」に何回も落ちないと説明されないわな。
「まあ、あのルーレットでランクダウンした最低ランクだな」
「「え」」
二人の顔が固まる。
「それ、まじ?」
「まじまじ」
二人は顔を合わせる。
「プハハハッ!フハハーっ!なにそれどんだけ運悪いんだよ!アハハっ!」
「あははー、大変だねー」
ヒロは大笑い、綾音は苦笑いを浮かべている。
「ってことで、こんな不運な奴をおぶってくれ」
「いやだ」
「即答かよ!」
あーだるい。歩くの疲れた。遠いよー。もう3分も歩いてるんだぞー!
「そういえばヒロと綾音はスキルどうだったんだ?」
俺だけ言うのはずるいからな。
「俺は『Cテイマー』。ランクはそのままの星3」
「Cテイマーってことは牛がテイムできるのか?cowってことで」
「なにいってるんだよ。CテイマーはC級の魔物以下をテイムできるってことだよ。ちなみに魔物はS~Fまでな」
あ~なるほど~。じゃあ俺が見たGテイマーは……G級の魔物がいなぞ?やっぱりゴki……セーフ!セーフセーフ!俺の運は良かったんだ!
「綾音は?」
「私は『錬金術』。ランクは星4!凄いでしょ」
「はぁ!?ずるい!錬金術とかサボっててもダイヤモンド作れて金儲けできるじゃねーか!よし、結婚しよ」
俺はプロポーズをする。ヒモになる一世一代のチャンスだ。
「え...それって」
綾音は顔を赤くさせる。
「ああ、俺の理想のヒモ生活を実現……」
「そんなの、お断り!」
「そんなあ!」
綾音はキッパリ断る。心なしか少しがっかりしてる気がするが……
「この鈍感が……」
「え?なんて?」
なんかヒロがボソッと呟いたので聞き返すが、なんでもないと言われてしまった。なんだったんだ?
ガサガサ
草むらが揺れる。もしかしてレアなポケ○ンか?
「なあ、ヒロ、綾音なんな揺れてないか?あそこ」
「え?あ、ほんとだ」
「魔物か?」
俺達はじっとガサガサ揺れている草むらをみる。
何が出てくる……
シュパッ!
不意にそこに矢が刺さる。すると、緑色の液体がブワッとでる。
「え?なんで矢?」
俺はヒロ達を見ると、綾音が弓を持っていた。さっき精製して、撃ったのかよ。良く当てたな、って綾音は弓道で全国制覇してたからそれくらいできるか。
俺が綾音に感心していると、周りの草むらがガサガサと揺れる。
「綾音、俺らの武器を創ってくれ。さっきの仲間だろうな、数が多い気がする」
「え?俺も闘うの?……頑張って!ヒロくん!綾音ちゃん!」
「「いいから闘うぞ(よ)」」
草むらから緑色の小さな人体が現れる。これはゴブリンか?1、2、3、4、5………15体くらいいるんじゃね?
「よし、ヒロ。テイムしろ」
「嫌だよ。ゴブリンとかいらん」
ヒロは俺の提案を即効拒否する。ちっ、いい案だと思ったのに
「出来たよ、武器」
俺とヒロに剣が渡される。
「えー、ボウガンとかないの?」
「無理よ、作り方が分からない」
「おい!優斗!来てるぞ!」
前を見ると、ゴブリンが三体飛び出してきていた。
「いや無理ー」
俺は適当に剣を振るう。ブンブン振り回しとけば、綾音が弓を放ってくれるだろう。
「ぐぎゃ」
「ぎょぇ」
「がゃぁ」
あれ?なんか意外とスパスパ斬れたぞ?もしかして、俺って天才なのか?
そう思うと、全てゴブリンの動きが遅く感じられる。
「俺の本気じゃぁい!」
大量のゴブリンを根絶やしにしていく。しかも、斬れば斬るほど強くなっている気がする。
こうしてあらかた片付いた。
「凄いじゃん。優斗、ほとんどのゴブリンをやっつけちゃうなんて」
「ほんとだよ。スキルのおかげか?」
「いーや違うな。俺が天才だからな」
俺は剣を力いっぱい地面に刺して、体を休める。久しぶりにあんなに動いた。
「よし、さっさと行こうぜ」
「そうね、洞窟はもうすぐだから」
綾音とヒロは、後ろを向いて歩き出す。
俺も剣を抜いてから……あれ?抜けない。
「うりゃぁーー!!」
力いっぱい引き抜こうとしても全く抜ける気配がない。
「どうしたのー?早くいこうよ」
「……剣が抜けない。まあいっか」
俺は抜けない剣を無視して歩き始めた。
本当になんで抜けないんだ?……まさか急にエクスカリバーになったとかか?※単純に休憩したので、ステータスがリセットされただけ。
歩くこと三分、みんながいる洞窟についた。
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