超ハズレスキル『働き者』の使い方

千夜一夜nnc

第1話

「な…にがっ、お…き、たんだ?」


俺は感覚の失くなった体を首だけを動かす。周りは炎が濛々とたち、クラスメイトはそれに気付くことなく焼きつくされる。まるで地獄を模倣したような光景だ。


さっきまで普通に現代文の授業だったはずだ、多分。寝ていたから知らんけど。急に辺りが激しい光に包まれた気がして目を覚ましから、それで……



答えに行き着く前に俺はそのまま、意識を失った。









「ここはーー」


ふと目が覚めると、真っ白い世界が広がっていた。


「あ!お目覚めになられたんですね。私は神カーラ。混乱するとおもうんですけど聞いてください。ここは死後の世界、とは一概にはいえないんですけど、まあそうおもってください。まあ、簡単言えば、神室優斗さん、あなたは死んだのです」


よくわからないことを女が言う。見ればその女には白い翼が生えていて、頭の上に天使の輪のようなものがある。どうやら本当に神のようだ。


「えっと、その、あれはなんだったんですか?」

「えーっと、」


カーラは目を反らして、頬をかく。


「その、こちらのミスで、隕石が窓から入ってしまって……」

「隕石?」


隕石が降ってくるなんてテレビでなんか放送されてなかったぞ?それが神様のミスなのか?


「まあ、それで流石に可哀想だから、これから転移させてもう一度違う世界で続きの人生を送ってろらおうと思い…」

「……なるほど」


「しかしですね、次の世界は魔法といったファンタジーの世界なので、危険なんです。そこで、スキルの恩恵を与えようと」


スキル、か。…………なんだそれ?もしかして、ファイアとかの魔法のスキルみたいのか?F○とかのやつならわかる気がするけど。


「スキルってなんだ?」

「え……ラノベとか見たことないんですか?」

「ラノベ?……?」


ゲームじゃなくて?


「ええっ!しらないの!?」

「いや、なんで神様がそんなもの知ってるんだ!?」

「そ、それは……。まあ、その暇なときに」


カーラはまた目を反らす。ラノベが何かわからんが、神様がそんなものを見てる暇があるのか?


「ラノベはライトノベルですよ?あの天才的な面白さとこの胸がドキドキさせるまさに神」

「神はあなたですよね?」

「とにかく小説です!すごく面白い!」

「俺字読むのとか無理」

「はあ!?」


いやだって、本読むとか人生の無駄じゃん。1日ダラダラと過ごすのが一番楽しい。次にゲーム。本とかよんだら蕁麻疹がいっぱ出でるわ。


「おほん。とにかく、スキルというものを与えます!」



スキルには2種類ある。ユニークスキルとノーマルスキル。ユニークスキルはその人が生まれた時から持っているスキル。ノーマルスキルは生きている中で獲得するスキル。人によって獲得条件が異なっていたりする。



突然白い空間から宇宙空間のような場所になる。そして、俺の前にカジノにあるようなルーレットの巨大版が現れた。


「まず、スキルにはランクがあります。星7が最高です。次の世界では大抵の人が星1、冒険者になってくると星2~3、物凄く強いと星4ほどのレベルをもっています。普通は星1のルーレットから始まり、「ru」のマスにボールが入るとランクがあがるものなんですが、今回は特別に星3から始めます。ちなみに今回、クラス全員が転生されたのですが、その中で星4は4人なりました。」

「へぇー、クラスメイトも転移したのか」


やっぱり全員死んだのか、あの事故で。


「はい、スタートはほぼ全員同じなので、大丈夫ですよ?」


そこは心配してないが、まあずれがあるとめんどくさいからいいか。というか、スキルが一個なんだな。


「では、ルーレットを回します。好きなタイミングでボールを放ってください。」


俺は適当にボールを放つ。


ボールはゆっくりと回って、「rd」のマスに落ちる。


「『rd』ってなんだ?」

「あ、えっと、そのルーレットのランクが落ちるマスで……」

「え、嘘だろ」


カーラはまた目を反らす。ガチってことか。てかrdってrank downの略語か?


「ま、まあ、星2でも強いのはありますので」


俺はもう一度ボールを放つ。


「ユニークスキルって2個にならないのか?」

「あー、なりますよ?生きている中で条件を達成したらゲットできます」

「そうなのか」


ポトリ、とボールが落ちる。


「あ、スキルは……」


カーラがなんのスキルなのか確認して、固まる。なんだろうと思って見ると、


『rd』


「「………………」」


俺達二人の間に気まずい沈黙が流れる。まさか二回連続「rd」のマスにとまるとは。


「あなた、強運の持ち主ですね」

「それ、悪運の間違いじゃないですか?」

「………切り替えていきましょう!」


無駄に声を張り上げる。と、そこで俺はあることに気付く。


「あの、次って星1のルーレットですよね?なんでrdがあるんですか?」

「まあ、ないと思うんだけど堕星、つまり持ってるだけでいらないスキルみたいなものね。例えば、魔法は強力だけど、勝手に暴走するとか」


いらねぇー。それじゃあスキル無しのほうがよくねぇか。まあ、とりあえず俺はボールを放つ。


「まあ、こんなにスキルがあるなかでrdにとまることなんて『rd』なんでぇ!?」


知らねーよ。てか俺運悪すぎな。


次のルーレットが現れる。『嫌われ者』『gテイマー』『三年寝太郎』……どれも使えなさそ!gテイマーのgってゴki..やめとこ。


俺はじっくりみて回る。ん?あれは『ニート』!?なんだと!俺にピッタリなスキルがあるじゃねーか!


俺はまた、ボールを放つ。『ニート』を狙って。


「今度はrdはないからね。絶対にスキルが……ないほうが当たりな気もするけど……まあなんとかなるでしよ」

(適当だな)


コロン


「あ、入った!えーとスキルは『働き者』……まあ、堕星にしては当たりの方じゃない?」

「いや、クソスキルだろ!?なんだよ俺は絶対働きたくないんだよ!これ苛めてるだろ!課金しろってことなんだろ!?するからもう一回!」


俺は叫ぶ。


「………『働き者』のスキルは働けば働くほど強くなる。まあ、修行も働いているとかになるんだけどね」


カーラは俺のことを無視してスキルの説明を始める。


いや、働くのとか嫌だし。修行も無理だし。俺の将来の夢はヒモになることなんですけど!?


しかし、カーラは俺の気持ちなど一切考慮せずただしーと続けた。


「休んだ瞬間ステータスはリセットされる」

「………リセットされるもなにも元々上がらないから変わらないんじゃね?」

「……………」


あれ?これもしかして働かなくて良いことを案に示しているのか?それなら最強スキルだぞ。クラスメイトがいるんだったら、どうせそいつらはチートなんだろうし、すねかじって生きればいいのか!


「ま、まあ、これは残念だとして、次に加護を選ぶね」

「加護?」

「そう加護。まあこれもルーレットで決めるんだけど、殆ど当たらないから。当たったとしても今までの最高が上位精霊。あなたのクラスでは一人が下位精霊に当たった程度ですよ」


よく分からんが兎に角精霊が当たるのか?


取り敢えず今日何度目か分からないボールを放つ。


コロン


「えーと、これは....はあ!?『天悪』!?」


うわー、めっちゃハズレを引いた予感。天悪とかもう名前からやばいじゃん。


「うわーすごい!呼び出された!」

「私を呼び出せるなんて、どんなすごいお方かしら」


急に目の前に黒い髪の女の子と金髪の女の子が現れた。


「へ?」

「す、すごいですよ!『天悪』なんて超ラッキーですよ!」

「そ、うなのか?」


カーラはピョンピョンはねて喜ぶ。俺にはそのすごさがわからんが。だって女の子だぜ?


「あなた様がわたくしを呼び出したお方ですか?」


金髪の女の子が尋ねてくる。年齢は見た目でいうとどちらも俺と同じくらい。金髪の方はツインテールで、少し小柄だ。..胸も。黒髪の方は髪を伸ばしていて(言い方はは分からんが、肩より少し長め程度)身長も俺より少し低く、胸は標準くらい。はっきりいってどちらも超美人。でも、俺は金持ちの方が大切。


「まあ、そうだな」

「やはり、至高のお方ですね。オーラがまるっきり違います」


オーラ?あぁ、気付いちゃった?そうなんだよ、隠していたんだが、俺ってついつい出しちゃうんだよなイケメンオーラ。


「至高のお方、スキルは何でしょう?」

「『働き者』っさ」(働く気はサラッサラ無いけど)

「『働き者』?やはり、聞いたことのない素晴らしい能力なのですね」


胸の前に手を組んで俺を褒める。あれ?ひょっとしてこいつ馬鹿か?


「俺のスキルランクは堕星だぞ?」

「え…………」


金髪の女の子は固まる。やっぱり知らなかったのか。そりゃそうだよな、俺のオーラのせいで霞んじゃうもんな。!もしかして俺ってイケメンっいうスキル持ってるんじゃね?


「えっーと、聞き間違いかしら?ランクは」

「だから堕星だって。堕ちるに星の堕星」

「…………」


金髪の女の子はまた、固まる。


「はぁ!?堕星!?なんで!?こんな高貴なわたしが!」


なんか急に喚きだした。さっきまでのお嬢様みたなのから一変しすぎだろ。さっきまで、至高のお方だとか、オーラが凄いとか言ってたじゃねーか。てか高貴だと…。よし、お婿さんになろう。


「ねえ、本当なの!?こんな奴が私を召喚したの!?」


金髪の女の子はカーラを問い詰める。くそっ、間に入っていけない


「えーっとですね、………本当に召喚した人です」

「なんでよ!?スキルランクが高いほど、私みたいな高貴な天使が出やすいはずよ!いままで、一時召喚でも、スキルランクは星4だったそうなのよ!?それなのに、それなのに私は……」


金髪の女の子はわんわん泣き出した。……チャーンス!ここでイケメンの俺が肩をポンポンとすれば…


「ま、まあまあ、気を取り直して」

「うっさい!あんたのせいでしょ!」


一瞥された。くそっ!どこがいけなかったんだ!







スキルランクが高いほど、当たりやすくなるらしい。スキルランク星5でも天悪みたいなレアなのは1%もないらしく、ランクが堕星では0.000000001%らしい。まあ、堕星になるのも0.000000001%らしい。これなら宝くじ当たったんじゃね?そしたら今頃は……


「あれ?そっちの黒髪の女の子は?」


さっきまで、金髪の女の子が騒がしくて全然話が触れれなかった。今、その金髪の女の子はしょげていて口説けなそうだし、もしかしたらこっちも金持ちかも。


「...............」

「ーー?」


黒髪の女の子はなぜか黙っている。いや、俺もそんなにコミュ力ないんだけど。


「えーっと....」

「ーーーーます」

「へ?」


早口すぎてなんて言ったのか聞き取れず、呆けた声が出てしまう。


「あ...


黒髪の女の子はまた何かを言おうとするが、急に消えてしまった。金髪の女の子も消えたようだ。何が起こったんだ?俺の愛しのヒモ生活が~!


「ああ!時間切れだ!えっと、これからの流れを手短に話しますと、異世界の森に転移されます。そこにクラスメイトもいます。さっきの天使と悪魔の召喚の仕

は勝手に記憶されているので。ではいってらっし、しゃい!」


カーラは早口でしゃべった(最後噛んだが)。


てか、天使と悪魔ってさっきの奴らのことか?.....『天悪』ってもしかして天使と悪魔の略?わかりにくすぎだろ。


そんな変なことを考えている内に俺の意識は刈り取られた。








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