第11話

 それから四日後。

 雲一つない青空の下、祖父の頼んだ小型重機がトラックに乗せられて到着した。祖父の車に乗って様子を見にきた千佳と修介は、祖父と共に見晴らしの良い丘の上で小型重機を積み下ろしする二人の男たちの姿をじっと見ていた。

 男たちは重機を降ろし終えると、修介の案内で井戸の跡に向かい、暫くしてから戻ってきた。

「どうだね、社長。何とかなりそうかな?」

 戻ってきた二人の男のうち、年かさの日焼けした男に向かって祖父が尋ねた。

「どけるのは問題ないでしょ。しかし、あの蓋をどけた後、誰かが落ちでもしたら危険だ」

 男ががらがら声で応えた。もう一人の男は三十代くらいのやせぎすの男で、上司と祖父の会話を黙って横で聞いていた。

「確かにそうだな」

 祖父が頷いたのを見て、「社長」と呼ばれた男は言葉を続けた。

「話は聞いていたんで一応、建設工事用の看板と囲い、それに上に置く金網は準備してきましたけどね。埋めないんなら、ちゃんと鍵の掛かる蓋を用意した方がいいと思いますよ」

「うん、社長の所で手配できるかな?」

 祖父が尋ねると、男は大きく頷いた。

「そうですね。二・三日のうちには・・・。本当に埋めないんですね。埋めるならまとめてやった方が安くつくって聞きますよ」

 男の問いに、

「中の調査をするからね。取り敢えず埋めるつもりはない」

 祖父は答えた。

「ならばそうしましょう」

「頼む」

「承知しやした。じゃあ、やるぞ」

 もう一人の男を促して、「社長」と呼ばれた男は重機の方へ向かった。

 操縦は若い男がした。「社長」が誘導して重機で巧みに井戸の蓋を挟み込むと50センチほど持ち上げたまま、井戸から三メートルくらい離してから降ろした。下ろす時に微かに地面が揺れた。

「いったい、どうやって昔の人は重機もなしにあんな重い蓋なんかしたのかしら・・・」

 千佳は修介の横で呟いた。

「本当だよね」

 修介が頷いた。

「土木技術というのは権力者の象徴だったのだよ。ここにもその権力の片鱗があったのだ」

 祖父は静かに呟くと、蓋の空いた井戸の方へと近寄っていった。修介と千佳はその後を追った。

 「社長」と呼ばれた男は井戸のかたわらに立って待っていた。井戸の入口は意外と広く、四角い古い木の枠らしきもので囲われていた。その奥は深遠の闇のように黒々と、底さえみえない。

「結構深そうですね。まだ生きている井戸なんですか?」

 修介が尋ねると、

「井戸として生きているかはわからないけど・・・ちょっと石を放り込んだら、水も残っているみたいですよ。危ないですから先に金網を置いてしまいます。思ったより入り口は広いがなんとかなるでしょう」

 と「社長」が応じた。

「そうだな」

 祖父のかたわらで千佳はこわごわと井戸を覗いた。

「どの位深さがあるんですか?」

 千佳の問いに「社長」は首を傾げると、

「あの音の様子だとだいたい10から15メートルくらい・・・かな」

 と答え、それを聞いて

「戦国時代に掘られた井戸としてはかなり深いな」

 祖父は重々しく言った。

「これ・・・戦国時代のものなんですか」

 「社長」は驚いたように呟いた。

「そんなに古いものだとは。じゃあ、ちょっと慎重に造作しないとな。中・・・調べるんですよね」

「そのつもりだが・・・」

 祖父の答えに、

「だったら息抜きもしないとまずいですよ」

 「社長」が言った。

「息抜きって何ですか?」

 修介が尋ねると、

「井戸に溜まったガスを抜く作業ですよ。昔は精霊が宿っているから、井戸を乱暴に扱うとその精霊たちを怒らせる、その呪いで死んじまうって言われたんですが、実際には二酸化炭素やメタンが溜まっているために、迂闊うかつに中に入ると中毒死してしまうんです。昔の人の知恵っていうやつで」

 「社長」は答えた。

「なるほどな。ではそれも頼む」

「わかりやした」

 祖父の依頼に、「社長」は、おいっ、と若い方の男に声をかけ、トラックへ戻っていった。資材を取りに行くらしい。

「すいません」

 修介が突然祖父に頭を下げた。

「蓋を開けるだけでもお金がかかるのに・・・。なんだか色々と出費がかさんでしまって」

「いや、頭をあげなさい」

 祖父は静かな口調で答えた。

「井戸の中を見たら、なんか余計わくわくしてきたよ。確かに相当古い井戸だ。いったい何が出て来るのか、楽しみじゃないか」

「でも・・・何も出てこなかったら」

 心配そうに千佳が言うと、

「その時はその時だ。今のこの興奮する気持ちだけでも、じゅうぶんさ」

 祖父は千佳を見た。

「年を取ると、君たち若者と違ってなかなかドキドキするような事にはめぐり合えない。我々の歳になるとドキドキする・・・そんな気持ちになれるだけで嬉しいものだよ」

「何も出てこなかったら・・・必ず働いてお返しします」

 修介の言葉に祖父は笑った。

「『蜘蛛一匹』でも出てきたらお返しはいらないよ」

 祖父が指をさした方角を見た修介と千佳の目に、ちょうど、井戸の脇から小さな蜘蛛が這いあがって来たのが映った。


「まあ、取り敢えずこれで大丈夫でしょう」

 金網を設置し、周りを囲うと、「社長」が首に巻いていたタオルで、流れ落ちる汗を拭きながらそう言った。

「その、息抜きというのはいつできるかね?」

 祖父が尋ねると、

「そうですね。それは専門の業者に頼まないと・・・。ちょっと待ってください」

 そう言うと、「社長」はスマホを作業着から取り出すと、どこかへ電話をかけ始めた。

「うん・・・。息抜きだけなんだが・・・なるべく早くやって貰いたいんだ。お、そうか。じゃあ、頼むよ」

そう言って電話を切ると、

「ちょうど仕事が空いていて明後日に来れるそうですよ。その日ならあたしらも都合良いし、まとめてやっちゃいましょう」

 と笑みを浮かべた。

「すいません、ちょっとお尋ねしたいんですが」

 「社長」は修介を振り向いた。

「なんですかね?」

「あの石の蓋の重さ・・・どのくらいありますか?」

 修介が指を差した先にあった石蓋にちらりと目を遣ると「社長」は顎に指を当てた。

「さてね、、、2トンはくだらないと思いますけどね」

「そうですか、ありがとうございました」

 頭を下げた修介を見ながら、

「お孫さんですか?」

 と「社長」は祖父に尋ねた。

「いえ、孫は娘の方です」

「ほう、じゃ二人はご友人なんですか」

「ええ、まあ」

 千佳は半笑いで答えた。

「いえ、恋人なんです」

 横から口を挟んだ修介の言葉に、思わず

「あ・・・。ちょっと」

 と顔を赤くして絶句した千佳と修介を交互に見遣った「社長」は

「ははは、いいですなあ、今の若い人は。率直で。羨ましいですな」

 と、笑った。


 二日後の「息抜き」は一時間も掛からず終わった。

「一応、二酸化炭素や有毒ガスも測定しましたけどね。だいぶ二酸化炭素は溜まっていましたが、今は正常値です。水は特に抜かないという事ですから、これで終わりです。もっとも水はそんなに溜まっていないようですね。湧き水じゃなくて雨水が流れ込んだものだと思います。深さは2,30センチくらいでしょう」

 30歳くらいの若い業者は手際よく作業を終えると淡々とした口調でそう言うと、振り向いて調査を終えたばかりの井戸を眺めた。

「だいぶ古い井戸ですね」

「戦国時代のものだそうですよ」

 鍵の設置のためにやって来た「社長」が言うと、

「そうですか。うちは井戸専門にやっているけど、そんなに古いものは初めてだなぁ」

 のんびりとした口調で業者は答えた。

「井戸ってそんなに需要があるものですか?」

 千佳が尋ねると、

「結構ありますよ。うちは埋めるだけじゃなくて設置もやっていますからね。結構井戸を掘って万一に備えたいって人はいるものです。逆に埋める方は涸れ井戸が多いですね。古いものだと水脈が変わって使えないものもあるんです。それでも古いものは江戸初期くらいまでかなぁ。時代が下るほど深くなりますがね。これもそこそこ深いけど、本当に深いものだと50くらいまであるものがあります」

 と業者は手を広げて見せた。

「そうなんですか・・・」

「息抜きっていうと、神社の神主さんとかお寺とか呼ぶことがあるんで、ちょいとスケジュールの調整が面倒なんですよ。それに実質的な作業をやっているのはこっちなのに、払いは向こうの方が多いとかね。向こうは祝詞のりととかお経を唱えるだけなんでね、モヤモヤするんですけど、こういうのはさっぱりしていていいですね」

 業者はそう言うと、

「じゃあ、これで」

 と言って帰っていった。

「これから鍵を設置します。金網も鍵を掛けられるのに取り替えますのでちょっと離れてください」

 「社長」はそう言うと先だって一緒に来た男と、作業を開始した。遠回りにその様子を修介たちは眺めていた。1時間ほどすると、作業を終えた男たちは修介たちに近づき、

「これで終わりました。あの石蓋のように永久ってわけではないですが、いい材質のものですから2、30年くらいは持つと思いますよ」

 鍵を渡すと、晴れやかな顔で「社長」は言った。

「しかし、ここからの景色はいいですね。なんだか久しぶりに子供に帰った気がしますよ。昔はここらへん良く山登りとかで来たなぁ」

「うむ」

 祖父は「社長」と並んで街を見下ろした。

「なんか、この下を造成するって話がありましてね、そうするとこういう景色が見られなくなっちゃうんですよね」

 「社長」の言葉に、

「関わっているのかね。そのぉ、社長も・・・造成とやらに・・・」

 祖父が尋ねた。いやいや、と首を振ると、

「入札がなかったんですよ。まあ公共工事じゃはないからそういうこともあるんですけどね。それでも、工事となれば少しは地元の業者に話があるもんです。下請けではありますが、そこそこの稼ぎにはなるんですけど。ところが今のところこれまでそんな話もないんで・・・、がっかりです」

 「社長」は零した。

「東京は建設需要があるんですけどね・・・。ここいらは公共工事がメインで、久しぶりにそれ以外の商売がころがりこんでくるんじゃないかと思っていたんですが・・・。いえね、この景色は守りたいんですけどね、あたしたちにも生活があるんで」

 慌てて言い訳めいたことを呟くと、

「建設業はずいぶん昔、日本改造とかいう建設ラッシュの時に増えすぎちゃったんですよ。逆に今は建設業者を守るために公共工事をするっていう構図になっちまったんで・・・。私が言うのもなんだか変な話ですけど」

 と言葉を継いだ。

「そうかもしれないね」

祖父は呟いた。

「ここを調査して何か良いものが出てきて、博物館とか作るようなことがあったら社長に頼むことにするよ」

 冗談めかして言った祖父の言葉に、

「それはもうよろしく」

 と「社長」は真面目な顔で答えた。


「一つは君が持っていなさい」

 帰っていった社長から受け取ったリングから鍵を一つ器用に外すと祖父は修介にそれを渡した。

「いいんですか?」

 修介は鍵を見詰めながらそう言った。

「うむ、まあ君を調査隊長に任命することにしたから」

 祖父は冗談っぽく答えると、

「これからどうするね?」

 と修介に尋ねた。

「取り敢えず、穴に入ってみようと思います」

「大丈夫かね?」

 心配げに尋ねた祖父に千佳も頷いた。

「一人じゃ無理よ。誰かに協力してもらったら?」

「うん、それも考えたんだが、このことは知っている人を少なくした方がいいと思うんだ」

 修介は思案げに答えた。

「どこから情報が洩れるかも分からないし・・・。向こうが邪魔をいれることも万が一にもあるかもしれない。それに説得するにも根拠がね」

 確かに、自分の彼女の言う曖昧な記憶・・・それも現実離れした過去の記憶を信用して助けてくれる人がどれほどいるのか分からない。

「それはそうだけど・・・」

 言い差した千佳に向かって修介は真面目な口調で続けた。

「でも僕は君のこと、君の言った事を信じている。君が見た記憶は昔あった城の風景ときれいに合致している。だからそれを疑いかねない別の人間と不毛な議論をしたくないんだ」

「でも・・・どうやって」

 心配げに尋ねた千佳に修介は黙って退けられた石の蓋を指さした。

「あれにザイルをつけて降りる」

「え、大丈夫なの?」

 千佳の声は思わず高くなった。

「石の重量が二トンもあれば絶対大丈夫さ」

「なるほどな・・・」

 祖父は頷いた。

「だが、一人では危ない。必ずその時は私も付き添う。まあ、水がそれほど溜まっていなければ溺れるということはないだろうが」

「分かっています。必ず相談します」

 修介は答えた。


 千佳が家に戻ったのは、もう六時半を過ぎていた。玄関を開けるなり、

「姉ちゃん、もうすぐご飯だよ」

 弟の龍彦の声が台所の方からした。それと一緒に肉を揚げる香ばしい匂いがしてくる。

「わかった。すぐ着替えるから」

 答えて、千佳は階段をトントンと上がっていった。


 鍵を掛けた井戸を後にして、三人は祖父の家で今後のことを話し合った。三日後には学校が始まる。その前に調査を始めたいと修介は言ったが、生憎あいにく祖父は各地の郷土館が年に一回開く会合があって、そのために京都へ行かなければならないという事だった。そのため調査は次の土曜日にやることになった。

 その席で修介は千佳に井戸について思い出せる限りのことを思い出してくれと頼んできた。

 曖昧な記憶だったが、井戸に入ったのは自分ではなく、若い男が籠に乗って降りて行った記憶が漠然と残っていた。その時、

「尺は?」

「三十」

 と誰かの会話を聞いた気がする、千佳がそう語ると、祖父が三十尺なら凡そ9メートルのことだ、と教えてくれた。

「じゃあ、そこら辺を中心に探してみるよ。でも、探すものの正体が分かるともっと助かるんだけどな」

 修介が千佳の眼を覗き込んだ。

「何か・・・。紙に包まれているものだった。艶々した茶色の」

「油紙だな」

 祖父が頷いた。

「だとすると、和書の可能性が高い。ものによっては歴史的発見になるかもしれんぞ」

「プレッシャーをかけないでよ」

 千佳が抗議した。

「だったら私が降りていく。見つからなかったらそのまま引き上げないで。一生井戸で暮らすわ」

 千佳の宣言に、

「千佳がプレッシャーを感じる必要はないよ。千佳の言葉でけが頼りとはいえるけど」

 修介がそう言って笑った。

「それがプレッシャーじゃない」

 千佳は口を尖らせたのだった。


「姉ちゃん」

 階下から龍彦の怒ったような声がして千佳は我に返った。

「ご飯だったら」

「ごめん、すぐ行く」

 着替えを諦めて千佳は階下へ降りて行った。

「なんだよ。着替えてないじゃん、今まで何していたんだよ」

 テーブルには唐揚げがやまのように盛られていた。龍彦の大好物だ。早く食べたいのだろう、そわそわとしている。既に自分の皿に菜箸で三つほど取り分けている。こういう時は仕事が早い。そのくせ添え物のキャベツの千切りには手を付けていない。野菜はきらいなのだ。

 唐揚げを箸で突っつきながら

「もう食べていい?」

 と弟は母親に尋ねたが、

「ご飯とお味噌汁を出すから少し待ちなさい。もう少しでお味噌汁ができあがるから」

 そう言われて、頬を膨らませると、

「姉ちゃん、その恰好でデートしてきたの?」

 と矛先を千佳に向けてきた。

「だっせー恰好」

 上は虫除けを兼ねたプルオーバーでボトムはジーンズ。確かにデートをする格好には見えない。それでも・・・デートはデートだ。

「うるさいよ。ちゃんと楽しいデートだったよ」

 千佳は言い返したが、弟は更に突っ込んできた。

「でも何だか、野良仕事するみたいな恰好じゃないか。修介兄ちゃんかわいそうだよ。デートの時っていうのは女の子はきれいな格好をするもんだよ」

 何を生意気な、このクソガキが・・・。と思わず口にしそうになったが、両親が目の前にいるので仕方なく、

「修介は喜んでいるよ。わたしを頼りにしているって」

 とだけ言った。

「そうなのか?」

 夕刊を読んでいた父が不思議そうな顔で千佳を見た。

「何を頼りにしているんだ?」

 ああ、一人でもめんどくさいのに・・・。思わず口調が尖った。

「父さんは黙っててよ」

 千佳の手厳しい反撃に父は急いで新聞紙で顔を隠した。

「それよりさ、うちって揚げ物多くない?龍彦がブクブクに太るのは構わないけどさ、私は年頃なんだから」

 弟の好物であるおかずに八つ当たりした千佳に、

「じゃあ、姉ちゃん食べなきゃいいんだよ」

「なんだとぉ」

 そう言うと、弟は慌てて唐揚げの載った皿を覆い隠すようにした。いつもだったら逃げようとするのに。

「何してんの?」

 皿に覆い被さったままの弟に尋ねると、

「だって・・・唐揚げが飛んで行っちゃ困るんだもの」

 と答えてきた。

「ああ・・・」

 以前空中を飛んだ、トンカツとコロッケの事を思い出した。ちょうだその時、味噌汁を運んできた母親がテーブルの上を見て、弟の皿に唐揚げだけが乗っているのを目敏く見つけ

「龍彦、ちゃんとキャベツも取りなさい。栄養があるんだから」

 弟に注意した。

「だって、キャベツって味がしないんだもの。本当に栄養があるの?」

 と抵抗した弟に向かって、

「もちろんだ。キャベジンはキャベツからできているんだぞ」

 父が薄っぺらいトリビアを披露した。

「え?キャベ人ってどんなゲームに出てるの?強いの?」

 その薄っぺらいトリビアに弟は頓珍漢な質問をする。全くうちの男どもは・・・と思いつつ、ふと頭の中に浮かんだ風景が英語になって

「A fry flies・・・。Fry fly?」

 思わず口に出してしまった。

「何言ってるの姉ちゃん?」

 と弟はキャベ人に急に興味を失ったように心配げに姉を見た。

「フライが空を飛ぶって英語でどういうんだろう?って思ったのよ」

 仕方なく首をすくながら千佳はそう説明したが、

「そんな問題は入試には出ないと思うぞ。フライは滅多に空を飛ばない」

 父親が断言した。

「そうだけど・・・。いいじゃない」

 その時、ご飯の入った茶碗を各人の前に据え終えた母親が、バンとテーブルを叩いた。

「ご飯よ、静かになさい」


「ああ、すまん」

「はーい。ごめんなさい」

「うん・・・。じゃあキャベツ少しだけ取って」

「それでよし」

 そう言って母親は全員を見渡すと、山のようなキャベツを弟の皿に盛ったのだった。

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