第5話 散歩
俺はフリックからお金を渡された。そのお金で魚の串焼きを一本買いそれを片手に散歩をして街の様子を見ていた。
串焼きを頬張りながら街へと繰り出し少し歩き回ってみたが、この街はそれなりに大きかった。
《ガラテア》それがこの街の名前だ。王都からは離れているが近くに海があり、貿易都市として栄えているらしい。
道端には野菜や鮮魚、肉を売る店、屋台が軒を連ね、人通りが絶えない。
(俺の住む街は都会なのかな?)
ゲームでは王都を中心に物語が進むためほかの街には焦点が当たらなかっが、この街はその時に見た王都と同じくらい栄えていると見える。
(王都並に栄えているならばあれがあるかもしれないな、行ってみるか)
行くと決まれば早速その場所を人に聞き足を進める。そしてたどり着いた場所は大きな建物が経っており大きな看板にはこう書かれていた─
《ハンターギルド》
それが目的の場所だ。ファンタジー世界固有の
(実際にハンターギルドを見ると凄いな)
ゲームの画面からでは分からない、空気や迫力が伝わってくる。
ギルドへと出入りするハンター達も皆貫禄があり強そうに見える。
(少しだけ覗いてみよう)
入口の脇に備え付けてある窓から中を覗く。そのには多くの冒険者おり、話し声が聞こえてくる。
『今回のクエストは美味しかったな!』『俺はまた迷子のペット探しだぜ』『誰か私とパーティ組みませんか?』『ライセンス上げてくれよ〜』
その声色はどれも明るく和気あいあいとしていた。ハンターギルドはもっと殺伐としている雰囲気だと思っていたが違ったようだ。それともここのギルド特有なのだろうか。
中に入ってみようかと思ったがやめておくことにした。俺は転生したばかりでゲームの世界とはいえ分からないことばかりだ。
街の中やギルドを見ることができたため屋敷へと戻ろうとしたところであるものが目に付いた。
それはギルドの外に立てかけられた掲示板、そこに貼られた一枚の大きな紙。そのには『指名手配』として二人の人物の顔と名前、そして特徴が書かれていた。
一人目は『血濡れ男爵』クース・タサロン
赤いシルクハットと一張羅を身につけ、手にはステッキを持つ顎髭を生やした男
二人目は『教団幹部』デイビッド・マラディトス
こちらは顔が書かれていなかったが、黒い法衣を着ていて一本の装飾剣を腰に提げている男
この二人の人物はどちらも大量殺人を行い、町や村を壊滅させたらしい。
こんな人物が近くにいると思うと体が震えてくる。ここ現代日本では無い。命の価値が軽く、簡単に他人に奪われていまうような世界だ。そうなれば凶悪な殺人犯がいてもおかしくは無い。
しかも俺には破滅フラグや死亡フラグが待ち受けている。そうなればこの指名手配されている人物にも遭遇してしまうかもしれない。そうなれば今の俺では簡単に殺されてしまう。
ならば─
(戦える力とこの世界の知識を身につけないと!)
武力と知識、それを身につけなければフラグ回避は不可能だと身に染みて理解した。
(早く帰ってフリックに相談しよう)
俺は駆け足で屋敷へと戻ることにした。
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