第2話 決意



 お先真っ暗な俺の人生、その事で頭が痛い。一体どうしてこんなことになってしまったのか、その言葉が頭の中を駆け回る。


(そもそも、なんで俺はこっちの世界に来てしまったんだ?俺は普通に寝てただけなのに)


 そう、俺はゲームが終わってから机の上で寝ていただけなのだ。


(それに俺はなんで転生したって真っ先に思ったんだ?)


 いくら俺がブレイブファンタジーのゲームが好きで、異世界ものの小説を読むからと言って、そんな考えが出てくるだろうか?


「あっ、思い出した」


 あと時俺はご飯も食べずに一晩中ゲームをして、一段落したところでインスタント麺を食べるために鍋に火をかけたのだ。そして火をかけたまま俺は机の上で寝てしまった。という事は、


「その後火事になって俺は焼け死んだってことか」


 その事実に気付き俺の気分は先程よりも落ち込んだ。それはそうだ自分のミスで焼け死んだのだから。


「いや、前向きに考えよう。転生できてまだ生きてるんだから感謝したければ」


 普通ならば死んだらそこで終わりだ。だが俺は運良く転生して生きながらえた。そんなことは本来ありえない事だ、ならばこの奇跡の出来事に感謝することは自然なことだろう。


 そこでまた俺は思い出した。自分が転生した姿を。


「って、俺はクロロになっているから死ぬ運命にあるじゃねーか!」


 クロロはブレイブファンタジーの悪役キャラである。彼の向かう先はどれも死が待ち受ける。


「こんなんじゃせっかく転生できたのに意味ないじゃないか!畜生、俺の人生ハードモードがすぎるぞ」


 なんで転生先が悪役キャラなんだ、こういうのはモテ主人公のブレッドに転生するのが普通なんじゃないか。


「俺の運命と比べてブレットの運命は薔薇色とか羨ましい」


 同じ世界の人間となり、ブレッドのことを考えてみるととてつもなく羨ましい。


 燃えるような赤髪のイケメンで、剣技も魔法もルートによっては最強クラスになり得る。不器用ながらも真っ直ぐな性格に何人ものヒロインが心を奪われる。


 それがブレイブファンタジーの主人公キャラ、ブレッド・フレイスなんだ。


「クソっ羨ましすぎる。もう羨ましさを通り越して妬ましすぎる」


 俺を死亡フラグや破滅フラグが待つ中、ブレッドの奴は最強への道、ハーレムフラグが待ち受ける。そんなの許せない。


「こうなったら死亡フラグや破滅フラグを尽くぶっ壊して俺が生き残る新たなルートを作り出してやる。そしてブレッドの幸せにフラグもへし折ってやる」


 俺は拳を強く握りしめて時分の生存とブレッドのフラグ破壊を決意した。







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