見知らぬアプリを開いたら転生した。~貴族に転生したのに追放された俺が強大な力を手にして空を支配する帝国の皇帝となるまで~

月刊ポテトからあげ

1 Hello,World!

「では、今回の講義はここまでです。」

 教壇の上の教授が授業終了を告げた。周りの学生たちが立ち上がり、次々と教室から出て行く。そんな中、村雲 健人ムラクモ タケヒトは一人席に座り本を読んでいた。

「ああ、もう授業終わったのか。早かったなぁ。」

大きく伸びをする。加えて、退屈で仕方なかったやといったばかりに大きな欠伸をした。ふとスマホを見てみると知らないアプリからの通知が入っているのが分かった。


《-WanDerの世界へ貴方も来てみませんか?-》


「ん?なんだこれ。」

「こんなアプリ入れたかな、ちょっと開いてみるか。」

 健人は通知をタップしてアプリを起動する。そうすると横画面表示になり、銀河のような背景に大きく《WanDer》と表示される。

「見たことないゲームだな。こんなのアプリのリリース表にあったかな」

 まあ、面白そうだし。と次の画面へと進めてみる。


『ようこそ!WanDerへ。貴方の訪問を歓迎します!』


 そう綺麗な女性のキャラが喋り、アバター作成画面らしき画面が表示される。

「へえ、結構細かく作れるんだな。」

 そこには髪型から顔のパーツ、身長・体重などの体型まですべてが細かく設定できるようになっていた。

 折角ならと健人は自分の理想へと、目の前の画面に表示されたアバターを変身させていく。


「よし、こんなもんだろ。」

シルバーの髪にアメジストのような鮮やかな紫の目、細身だが適度に筋肉がついているような健康的な体。まさに現実世界の人間からかけ離れたアニメの世界に出てくるような美少年であった。

ある程度自分の理想のアバターが完成し、満足そうな顔を浮かべたところで完了のボタンを押す。

『容姿の設定を完了しますか?』

もう一度確認が入る

「いいですよっと」

そこに表示された二択のうち、『Yes』のボタンを押した。


スマホの画面が、目映いほどの光を放つ。

「わっ眩しっ!!!」

彼は思わず腕で顔を覆い隠した。

光が消えると、先程まで間違いなくそこにいたはずの人影は消えてなくなっていた。



講義室のテーブルに残されていたのは、彼がそこに存在したという唯一の証明である、画面に《Hello,World!》と表示されたスマホであった。


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見知らぬアプリを開いたら転生した。~貴族に転生したのに追放された俺が強大な力を手にして空を支配する帝国の皇帝となるまで~ 月刊ポテトからあげ @tr_znk88

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