奇妙な噂の多い街で、不思議な猫に誘われて、人知れず魔獣を退治する少女の物語。
いわゆる魔法少女もの的な現代ファンタジーです。
猫の姿だったり人の姿だったりする不思議な存在、「ルナさん」によって魔力を分けてもらった少女が、魔法少女(と明言している訳ではないものの、それ的なもの)として魔獣と戦うのを拒否したり結局戦ったりするお話。
不思議な雰囲気のキャラクターと、彼女たちのふわふわした掛け合いが印象に残ります。
分量にしてわずか4,000文字ということもあり、非常にコンパクトかつライトな掌編といった趣で、内容もまさにその通り。真夜中から夜明けまで、わずか一夜の小さな冒険譚です。
冒頭部の「ゆうひヶ丘」の紹介からして、きっと事件や騒動はまだまだいっぱいあって、きっとそこには彼女たちが活躍しているのだろうなあと思わせるところが素敵です。
夏の夜の、どこか開放的でありながら少しうら寂しい空気を感じる作品でした。