第29話 28-皇女 環
皇女の環は、柔らかく穏やかな声音から、優しくおっとりとした印象を与える。透き通るような白い肌に黄色の瞳をしている。柔らかく揺れる髪は亜麻色をしており、光の加減で淡く黄色く見える。耳は人の耳をしている。身長は梔子より少し高いくらい162センチくらいか、白地のミニワンピースが清楚を増しているが、綺麗な足には、マノーリアと同じように太ももにレースのあるストッキングはき、胸元は大きく開いており、清楚とは真逆の主張をしている。男はどうしても、目を奪われる。マノーリアのミドルクラスで目を奪われたが、環のはベビークラスの最強ウエポンだ。そのつもりはなくても、目が行ってしまう、あれだけあれば、隠していても隠せないだろう。マノーリアが低い声音で葵に尋ねる。
「葵くん?どこ見ているのかしら?」
「皇女様…」
「ふーん」
マノーリアが半眼で葵に無言の攻撃をしてくる。葵は嘘もついていないし、オスとしての本能でそんな目で見られる言われもないので、顔面に爽やかな顔を貼り付け反撃する。
「そんな目をされたら、ずっとマニーしか見つめることしかできないじゃないか…」
葵は目だけは、エロスキル全開の眼差しをマノーリアに全弾発射する。目で犯すってこういうことかと念を込める。マノーリアが深くため息をつく
「まったく、葵くんは…」
そういつつも、マノーリアは若干頬を赤らめている。まったく効果がないわけでもないが、多少免疫がついたようだ。そのやり取りを環が見てクスクスと微笑む
「マノーリアさんと神無月さんは、もうそんな仲になられていたのですね!」
環の発言に加担し梔子が肩をすくめる。
「タマちゃんそうなんです。いつもイチャコラして、道中目のやり場に…」
「クー!イチャコラなんてしてないでしょー!環さんも!まだ葵くんとは何もありません…好きですけど…」
マノーリアが想定外の伏兵に、顔を真っ赤にして下を向く、まだ、葵以外から茶化されると恥ずかしいようだ。
「あらあら…マノーリアさんが男性に好意をもつのは初めてですね!わたしもうれしいわ!神無月さん、マノーリアさんの事よろしくお願いいたしますね!」
「えっ、まぁそれはしっかりと生活基盤がしっかりしてからの話ですかね、まだ保護していただいている身なので…」
葵はの発言は半分は本心だが、皇女の環の第一印象を良いものにする打算もしている。
「神無月さんは、しっかりされていますね。では、そのあたりの話と加護を得たお話を詳しくご報告いただきましょうか?」
梔子が環に手を振りながら忠告する。
「タマちゃん!葵は計算高いというか悪い人ではないけど、計算高いよ~」
環はクスクス笑いながら返答する。
「ご忠告ありがとう、これだけしっかりされた方なので、計算高いのも折り込み済みですね。でも、それは悪いことではないです。現状、未曾有の事態が起きているわけですから、ご自身の身の安全と最善の選択したいと思うのは当然でしょ。でもそんな思考を隠したいと思うのも人ですね。では、わたしも計算高く、神無月さんに親しみある皇女として、これからは葵さんとお呼び致しますね!」
人差し指を顎にあて、小首を傾げながら、環は微笑み葵を見る。環はまったくそのつもりがないのは、葵も頭では理解しているが、環も美少女に分類される。マノーリアや梔子とタイプの違う、男の扱いをそこそこ知っている気がする。あの微笑みを向けられれば、勘違いしてしまう男もいると思う。嫌みなくモテるタイプの娘だ。その性格は、あちらの世界で、別れた彼女に似ている気がする。
「別に俺はどちらで呼んでもらってもかまいませんよ。でも、そこまで計算高くは感じませんけど…?」
葵はその程度では、動じませんよと言わんばかりにその真意を尋ねる。環は顎にあった人差し指を左右に振り答える。
「ええ、葵さんに必要以上の好意を抱いてほしくてしたわけではありません。わたしはマノーリアさんに火をつけたくてしただけですから、ねぇマニーちゃん?」
環はマノーリアを愛称で呼んで微笑む、マノーリアは環の思惑が理解できていないので尋ね環が答える。
「葵さんは、今までの転移された日本人の方と状況と違います。眷属神の加護も得ている葵さんの存在は世界中で重要です。皇国としても葵さんにこの国を母国として、活動をしてほしいです。しかし他国も葵さんに来てもらいたいと思うとわたしは思います。そうなれば、特定の異性がいなければ、花嫁候補の話やハニートラップを仕掛ける国があっても、おかしくないではないですか?であれば、マニーちゃんが早く葵さんのお嫁さんになるのが得策でしょ!」
「お嫁さんって…結婚?」
マノーリアが真っ赤になり、久々に思考エラーしている。この皇女ふわふわかわいい聖女キャラと思いきやかなりの策士かもしれないと葵は感じる。
「それと…ここで生活すると、この国の女性も葵さんを放っておかないと思いますよ~」
環が、マノーリアにライバル多いよってけしかけ、とどめをさす。マノーリアが静かに恋の炎を燃やしている。
「マニーちゃんは昔から負けず嫌いだから~ライバル多いと更に気持ちが高ぶるのよね!」
環がにこりと笑う。葵の顔をみて環が声をかける。
「葵さんどうかされましたか?」
「いや、なんか環さんのイメージが違ったので…国に得があっても、環さんにあまり得がないかなって?」
「そんなことありません。葵さんがこの国にいるのであれば、わたしの研究に大きく貢献していただけますもの!」
「研究?」
梔子が葵に説明する。
「タマちゃんは、元々歴史学の学者さんなの、錬金術師でもあるけどね。だからその研究のことだと思うよ」
環が更につけ加える。
「クーちゃんの言う通りです。だからわたしにも得があるのです。人には必ず欲があります。それをコントロールする必要があるのです。欲に溺れてしまえば魔族の餌食です。それは皇女のわたしでも一緒だとわたしは思うのです。なのでわたしにも当然欲はあります。わたしは聖女でもありません。この世界の謎と星を守るために何をすべきか、わたしの知識欲が欲するのです。欲求を満たす事は必要な事です。その為に人は努力もできます。」
皇女もひとりの人間だった。綺麗事を並べて話されるよりも、合理的で良いかもしれないと葵は思うのであった。
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