第5話 救出作戦に参加



 作戦を指揮する騎士には驚かれた。


「辛い事を思い出させることになるがそれでもいいのか?」

「はい。お役に立てるなら、乗り越えて見せます」


 だが、他に有効な手が見つからないという事で、私の申し出は受け入れられたようだ。


 私は、過去一度も経験する事がなかった行動に出るのだ。


 王女の、身代わりをするという。


 作戦は王女と他の人間が離れた時に行う事になった。


 王女のふりをした私がこっそり入っていって、立てこもり犯たちと対峙する。


 その隙に騎士団の者達が、入り込むという作戦だ。


 豪華なドレスに包んでいるところに、教え子の王子様がやってきた。


 危ない目に遭うのを心配してくれているのだろう。


 王子サマはお守りにと、普段大事にしていたペンダントを渡しながら、無事を祈る言葉をかけてくれた。


「先生が無事に帰ってくださるように、そう神様にも祈っておきます」

「ありがとう。優しい生徒を持つ事ができて私は幸せです」





 いよいよ作戦決行。


 となった私は、離れた王女と入れ替わるように立てこもり犯の元へ向かった。


 王女なら絶対に通らない、換気用の管の中を通って内部に侵入し、頭に叩き込んだ建物の地図を参考にしながら歩く。


 緊張していた私はなんどもドレスの裾を踏んづけそうになった。


 そして私は、何気ない様子で犯人達を見つけ、挨拶を交わし、あたりさわりのない話を行った。


 そして、できるだけ目立つ行動で、我儘を言い。彼等をできるだけ一か所に集めた。


 過去、身代わり教育を受ける際に、王女の性格を教えてもらった。


 その時から王女の性格が変わっていたら失敗していたところだが。


 犯人たちは面倒くさそうな顔をしつつも、いぶかしんでいる様子はなかった。


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