第6話 身代わりからお姫様に



 犯人達と話をしているうちに分かる事があった。


 彼らは、王女の事をただの我儘な少女としてしか見ていない。


 目上の人に対するような敬いの心は、まるでないようだった。


 おそらく、事件を起こした者達は行方不明だったその王女が、本当に国を動かせるとは思っていないのだろう。


 自分の思い通りにできる傀儡の王女としか考えていないのだ。


 それから数分ほどした後、建物の各所で爆発音や剣劇、人の悲鳴が聞こえるようになった。


 騎士団が突入したのだろう。


 頃合いだと判断した私は騒ぎに乗じて、その場から離れようとした。


 しかし、そこで運悪く本物と鉢合わせてしまったらしい。


「この女は偽物よ! 誰か、早く殺して!」


 偽物だとばれた私は、彼等が持っていた剣で心臓を貫かれた。


 ように思えたが、王子様から渡されたペンダントが守ってくれたらしい。


 切り付けられた衝撃で倒れた私は、自分が生きている事を知って、ほっとした。


「大丈夫か! 安心してくれ! 後は我々に任せてほしい!」


 その間に騎士がかけつけてくれたので、その場にいた犯人たちは全員取り押さえる事ができた。





 その後、建物内部にいた班員は全員捕まえる事ができたらしい。


 人質も無事に救出できたようだ。


 事件は一件落着。


 ペンダントも無事に王子様に返す事ができた。


 捕まえられた事件の首謀者や、リーダー各の人物や王女は処刑され、他の者達は一生牢屋から出る事ができないようにされた。


 その後、大事件の解決に貢献したという事で、私に勲章が贈られた。


 ちょっとした有名人になった私はその後、優しい方の王女様(偽物なのに)と呼ばれて町の人達に親しまれたのだった。


 そして、数年後に王子様からプロポーズされて、お姫様になった私は、幸せな人生を過ごした。


 身代わりの王女として教育されていた過去があったため、お姫様になる準備は何一つ滞りなく進んでいった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る