第2話 王女の身代わりとして
私の顔は王女によく似ていたらしい。
ただの一般人として生活していた私は、周りの人間からよくそう言われていた。
最初はそれだけの話だったのだ。
けれど、どこかで話が大きく広まってしまったらしい。
王女にそっくりな少女がいる。
そんな噂が町に広まった後、私は城へ連れていかれた。
私はただの平民で、王の隠し子でもない。
血も繋がっていないけれど、偶然王女と顔が似てしまったらしい。
それで、この偶然を利用しようと考えた者達に攫われて、城に閉じ込められた。
私のいる赤の国は戦をしていたから、他国から入ってくるスパイの脅威に怯えていたという背景があったのだろう。
王様には、ぴったりの背格好の影武者がいたけれど、王女にはいなかった。
だから、私にお役目がまわってきたらしい。
でも、私はそんなの嫌だった。
「ここから、出して! 家に帰らせて!」
だから、何度もそう訴えた。
けれど、そのたびに容赦なく鞭で打たれて、食事を抜かれた。
王女の身代わりとしての勉強をこなさなければ、眠らせてもくれなかった。
テキストの前にしながら居眠りすると、いつも大きな音で起こされた。
辛くて、辛くて、いつか心が壊れてしまうのではないかと思っていた。
永遠にそんな毎日がずっと続くと思っていたから。
けれど、あっけなく終わりは訪れた。
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