序章 よりよい未来へⅢ
今日もまた学校が終わった。
そして今日も今日とてデートの場所について考えている。
もう約束の日まで二日しか残っていない。
そんな中、見知った二人の人物からメールが来ていることに気づいた。
片方は陽葵、もう片方は梗平からだ。
先に陽葵の方から確認することにした。
「新太君、私が変なこと言っちゃったから悩ませちゃったかな?ごめんね。私は新太君とならどこでも楽しいから!」
俺そんなに分かりやすいのか……
だが、気を使っていると分かっていても、嬉しいと思える。ついつい顔がほころぶ。
はっ、こういうところか。
「いや、初めての経験だからどんなところが良いかわからなくて悩んでた。もう少し待ってくれると助かる。」
と新太は返信した。そして、次に梗平のメールを確認する。
「どうだった?参考になったか?まあ、なってないかもしんねーけど‥‥‥。参考になったんだったら今度学食おごってくれ」
何なんだよ。どんだけ俺にたかりたいんだ。
返すのも億劫になってしまうが一応、新太のために動いてくれたわけで、返さないわけにもいかない。
「まあ、もう少し自分でも考えてみるよ。参考にはなってないけどな。」
梗平がわざわざ聞いてくれたのもあり、何も成果がないというのは申し訳なく感じられ、新太は昼の会話をもう一度思い返す。何かヒントはないかと。
「スピリチュアル‥‥‥」
いや待て、違う。絶対にこれではない。
「えーと、なんて言ってたっけ?スピリ‥‥‥」
駄目だ、スピリチュアルしか思い出せない。何てことしてくれたんだ。
新太はもう一度よく思い出す。
「…俺自身、二人の思い出、背伸びはしない、気持ち……ん?まて、スピリチュアル?」
これは、もしかしてもしかするのか。
新太は思いついたかのように携帯の検索に手をまわす。
「交通の便も良い。はは、まさか参考になっちゃうとはな‥‥‥」
どうやら今度梗平には学食を奢ることになりそうだ。
新太はさっそく陽葵に連絡することにした。
「女か?」
「うおっ!?」
急に後ろから声をかけられ、驚き振り返ると声の主は澪だった。
「びっくりしたー。なんだよ」
新太はダルそうに澪を見る。
「いや、あんたがにやついててキモかったからこれかなと」
といって澪は小指を立てて見せた。
いや、それ古いしおっさんみたいだからやめたほうが良いよ?ホントに。
「――そうだよ。てか姉ちゃんも早く彼氏つくれよ」
「アレ?」
一瞬澪が固まった後に、遅れて反応した。
「えー!?マジで?ていうか今、余計なことも言わなかったか?この口は」
隠すこともできたが、正直この時の新太にその考えはなかった。澪は反応に困っているようだったが、これ以上は面倒なことになりそうなので早めに話を切り上げることにした。
「じゃあお休み」
「えっ?ちょっとま――」
新太は澪が困惑している声を背中越しに聞きながら自室に戻った。
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