第3話『接点』

 俺が、鷹音ようおんさんの情報が表示されている壁を見て落ち込んでいると、誰かに背中をかなりの強さで叩かれた。


いって〜〜っ」……振り返ると、イタズラっぽい目のユイがいた。 『司令徽章』は戦時中じゃないから守ってくれないようだ。


 ユイが「どうした?」と聴いてくる。


 鷹音ようおんさんの年表を見て、なんとか彼女との接点を探し出そうとしたが見付けられなかった事を告げると……


「『セッテン』を見付ける事って、何か重要な意味があるのか?」……とかれたので


 ……例えば、近くに住んでいれば、『どこどこのお店に行った事ある?』とか『誰々さんって憶えてる?』とかける。


 また、同じ学校の出身だったら、『あの先生、元気かな?』とか、『まだ、校歌憶えてる?』とかける。


 ……そんな感じで、何か共通の話題で彼女と会話する『きっかけ』が出来ると思った……と、ユイに伝えた。


 ユイは「なんだ〜、そんな事なら、いとも容易たやすい」とサラッと言った。


『いとも容易たやすい』? いとも容易たやすくはぇだ……ろ?


 ホント? ……いとも容易たやすい……の?


 こいつらの事だ……まさか、俺か彼女の記憶を操作する……とか言い出すんじゃぇだろうな!?


 ……と、一抹いちまつの不安が脳裏をぎった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る