第2話 諜報

 かしこまって情報参謀に……


「彼女の情報を見せて頂けますか?」と尋ねると……


「はっ、閣下」

 

 ……例のコミカルな声で返事が帰って来た。 そして、部下に合図すると同時に、議事ドームの壁面全体に、ビ~ッシリと文字が表示された。


 うわっ! こ、これが『鷹音ようおん 野華ひろか』さんの……情報!


 多すぎだあ。


「か、彼女の、大まかな年表だけを見せて下さい。」


「はっ」


 壁面の情報が、俺の目の前野壁に、A3サイズくらいに集約された。


 ……良かった〜。 少しは見やすくなった。



 ……なになに……。


 ……。


 一縷いちるの望みをかけたが、全く接点が無い。出身地は違うし、当然の事ながら幼稚園も違う。


 小学生の時に、親の仕事の都合で、俺の実家の地方に越して来たようだが、県が違う。


 その後、彼女は中高一貫の一流私立校に通い、エスカレータ式で、そのまま大学に進学。 卒業後に就職して、現在に至る……そうだ。


 彼女と俺の共通点は『人類』くらいのものだ。 ……いっそ清々すがすがしい。


「……はぁ~~……」溜息ためいきが出た。


『ため息をつくと幸せが逃げる』……と良く言われるが、そんなの、もう、どーでもいい気持ちになった……。

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