第12話 提示

 例の地震のような振動が発生し、俺がへっぴり腰で頭をかばっている間に『議事ドーム』が出現した。


 ところで……軍議のたんびに、こんな巨大な建物を設営されたら、世の中が大騒ぎになるのでは……と不安に思っていたのだが、議事ドームがある『戦略的絶対防衛地帯バトルフィールド』? とか言う場所は『不可侵障壁』と言う、こちらの世界から姿を隠す為の障壁バリア展開スプレッドされていて、全く問題無いそうだ。 


 良く判らんが、ま、まあ良かった良かった(笑)←ご都合主義


 ……さて、既に衛鬼兵団えいきへいだんの参謀たちは着座しており、俺とユイに頭を下げている。 俺も、「へへへ、ど〜も……」 と言いながら、おっかなびっくり総司令の席に着き、ペコペコとコメツキバッタ宜しく頭を下げた。


 えっ? 総司令としての自覚? 何それ?


「これより、軍議を凝らす」


 低音が魅力の、参謀長の開会の辞に引き続いて、評議内容の提示を求められた。


「俺、いや、私と、この『鷹音ようおん 野華ひろか』さんを、恋人にして下さい」……と頭を下げた。


 参謀長が答礼し、参謀を見渡した。


 さて……どうなるかな?


 ……俺はちょっぴりドキドキ・ワクワクして、軍議の進行を見守っていた。


 しかし、その結果は……


 想像以上に惨憺さんたんたる有様ありさまだったのである……。

 

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