第2話 包囲
『
何だか良く判らないが、助かったらしい。
……大地が割れんばかりの振動が起きたが、偶然通ったトレーラーの振動と重なり、道行く人は、
……と安心したのも束の間……
『全周に感! 包囲されています!』
「なにぃ!?」
辺りを見回すが、人っ子一人、猫の子一匹いない。
……どうもおかしい。 そもそも、こいつらは何と戦っているんだ?
1、見えない『敵機』
2、飛行物体
3、現在も『無数』の『敵』に包囲されている
4、今は初夏……
……
………………!
も、もしかして……
女の子が俺の胸……いや、指令徽章に
「衛鬼兵第
……と指令を下そうとするのを
「ちょっと待ったあ〜〜!」と、俺は必死に
「なぜ止める!? 我が軍の勝利は目前だぞ!」
「ひとつだけ教えてくれ! 君たちが戦っている『敵』……って何者?」
「知らん! ただ、奴らは貴様やあたしの上皮に針の
……やっぱり!
「……それは『蚊』っていう生き物だ! 味方じゃ無いが、少なくとも『敵』じゃ無い! 下手に『掃討』? なんてしたら、生態系が狂って、この世界がめちゃくちゃになるぞ!」
「えっ? ホント!?」
「本当だ! それは君たちにとっても望むことじゃないだろ?」
……女の子は暫く考えていたが……
「そうか、判った。 ……その『生物』との戦いを講和に持ち込む事は可能か?」
こ、講和? 『蚊』と!?
「……そんなのは必要無い! ちょっと待ってて!」
……俺はさっきのコンビニで『蚊取り線香』を買ってきて、火を点けた。
即座に『司令徽章』から……
『前総司令! 現総司令の『攻撃』により、『敵軍』沈黙! 完全に戦闘能力を奪った模様!』
……との声が響いた。
前総司令の女の子は驚きを隠せない様子で……
「重畳! 感服した。 礼を申す!」と言って頭を下げた。
ふぅっ…… あっぶね〜危ね〜!
あの怪獣みたいな『衛鬼兵』が突然出現したら、警察や自衛隊が黙ってないだろう。
もしかしたら在日米軍が参戦するかも知れない!
そうなったら……想像に難くない!
……
それにしても……文字通り『蚊一匹』でこの大騒動なんだから、この女の子をここに残して帰ったら、明日という日が無いかも知れない!
俺はこの国の為、ひいては世界の為、そして……人類の為! この女の子を俺のアパートに連れて帰る決断をした。
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