第8話 平和と戦争

 女の子……自称、総司令? は、ご飯を食べて元気を取り戻したらしく、すっくと立ち上がり、俺に向かってこう言った……


「さあっ! 試しに、どこか侵略してみよ!」


 おいおい、そんな『試しに、これ食ってみ♪』みたいに『侵略』を持ちかけられても……。


一言ひとこと、良いか?」 

と、俺は挙手して発言を求めた。


「何だ?」


「今、俺たちの世界では、お偉いさんたちが知恵を絞って、あらそいの無い世の中をつくろう……と必死になってる。 そんな世界で戦争を求めても、無駄だよ。 ほかを当たった方が良いと思う」


 女の子は力無くベンチにペタンと座り


「……実は、どの異世界に行っても同様なのだ。 どいつもこいつも『平和、平和』とほざきおって。 一体、誰のお陰で平和を享受きょうじゅ出来たと思っておるのやら……。」と、口惜くやしそうに言った。


 そう言われると、俺たちは何も言えない。 今の平和は、先人たちの血と涙であがなわれた事を知っているからだ。


「そこでだ!」


 おっ、また立ち上がったぞ!


「我ら『衛鬼兵団えいきへいだん』は、新たなる戦場を求めねばならん。 我らがかつて経験した事の無い、新時代の戦場を求めて……な」


 ……ちょっと何言ってるかわからない。

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