第4話 平身低頭

 野華ひろかさんの部屋を見渡すが、ユイの姿は無い。


「ユイ〜」

「ユイちゃ〜ん」


「……前総司令閣下は、此処ここには居られません」


 ……! こ……このコミカルボイスは……


 お〜! 情報参謀ぉ〜! 久し振りだなあ!


「総司令閣下! お久しぶりで御座います!」……俺たちは固い握手を交わした。


 情報参謀を野華さんに紹介してから、ユイの所在を聴いた。


「前総司令閣下は、前哨基地でお休みになっておられます」


 この前も書いたが、ユイがあそこまで怯えている姿は初めて見た。


「ユイは、何をあんなに恐れていたんです?」……俺は情報参謀に聴いた。


「わたくしめは、それを調査に来たので御座います」……情報参謀はそう言って、再び部屋から出て行った。 俺たちも後に続く。


 情報参謀の頭に付いているレーダー? が回転し、走査を始めた。 ……それと同時に『ビーッ  ビーッ!』……というけたたましいアラート音が鳴り始めた!


 レーダーは、真っ直ぐ王牙だった女性を指している。


「判りました! 前総司令閣下が恐れたのは、このおかたです!」


 え〜!? あのユイが、何で今更……こんなに控え目になった王牙を恐れる必要があるの?


「こ、こちらにおわすお方こそ、おそれ多くもかしこくも……我らが皇帝陛下で在らせられます!」……と言って、あの情報参謀が平伏ひれふした!


 ま……マジ!?

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