第5話 依頼

 何で? 何で『皇帝陛下』が王牙になっちゃってんの!?


 落合さんが……「私の設定では『王牙一族』は高貴な出自でしたが、長い戦いの末に『敵』を全て駆逐し、勝ち取った『平和』に物足りなさを感じ、再び戦いに身をおいた事になっています」


 ……情報参謀が俺に近付き……


「先日、この落合様の脳内をスキャンした際……落合様の『松果体』が、不完全ながら、わたくしめの、このアンテナと同様の機能をお持ちである事が判明致しました。 恐らく無自覚で我々の存在を認識しておられたのでしょう」……と耳打ちした。


 道理で! コマイ先生のWEB小説が、あまりにも衛鬼兵団と似たストーリーだと思ったらそういう訳だったのかあ〜!


 ……それにしても落合さん……その『アンテナ』が、頭の天辺てっぺんから突き出して無くて良かったね!



わたくしは……何も覚えておりません」……と『皇雅おうが 透娘とうこ』が泣きそうな顔で言った。


 ……恐らく『銀河の清き流れ』で完全に浄化された際に、記憶も綺麗サッパリ洗い流されたんだろう。


「前総司令閣下が、この世で唯一、逆らえないおかた……それこそが『皇帝陛下』です。 恐らく前総司令閣下は本能でそれを知った為に、逃避なされたのでしょう」


 へえ〜! あの傍若無人なユイも恐れる人がいたんだね。 驚いた〜。



「どうなさいました?」……と、野華さんが透娘とうこに声をかけた。


……透娘が、何かを言いたげにしている。 さすが、野華さんはめざとい! それに気付いたようだ。


「……わたくし、衛鬼兵の皆様に、お願いが御座います」


 お願い?


「……絶対に結ばれてはいけない恋人を……皆様のおちからでお救い願いたいので御座います!」


 ……それ……どゆこと?

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