第19話 無血戦勝

 俺が『刀根とね 朔也さくや』に変形したまでは良かったのだが、そのままでは、この世界での衛鬼兵団臨時司令官である『たいら 盆人はちひと』が不在のままだ。 誰かに、俺の『刀根 朔也』の部分を『移植』させる必要があった。


 その為には、受け皿となるまっさらな状態の人間がどうしても必要だった。


 ……と言っても、衛鬼兵団には『新しい生命』を誕生させるすべが無い。 ……『愛』を知らない彼等かれらの唯一の欠点と言っても過言では無いだろう。


 ……その為、衛鬼兵団参謀本部は『斬鬼軍』を戦術的に利用する方法を立案したそうだ。


 実は『斬鬼軍』は、彼らが仕えた『皇帝』が『無』から創造した存在なのだ。


 ……コマイ先生こと落合さんの脳内にある小説のコンセプト全てをトレースし『斬鬼兵』捕虜に付与し、本物の『バウンティ・アーミー』を現出させた。


 ……その中に『王牙おうが 刀弧とうこ』と『純白の兵士』もいた。 この2人は、今次戦最大の敵であると同時に、作戦の中核を担う最重要人物だった。 彼女らが、計算通りに動いてくれた事により、今次戦が成功を収めたと言っても過言ではない。


 更に、落合さんの小説執筆の原動力となった『サンクリスタ・フリージア女史』もトレースされ、それは自動的に野華ひろかさんに付与されたのだった。


 ……かくして『純白の兵士』は『刀根 朔也』のデータを俺から根刮ねこそぎ抜き出して、俺は元に戻り『刀根 朔也』を現出させる事に成功したのだった。


 ……ふ〜っ……。 さて、ここまでで質問のある人、挙手!


「はい!」


 ……はい、今路こんろさん!  ←禁断のキャラ


「『メシアーンズ法憲ほうけん』に定められた『絶対的非武装区域』とか『銀河の清き流れ』……と言う台詞がありましたが、これもコマイ先生のプロットですか?」


 ……さすが今路さん! いい質問! ←自画自賛 (……と言うか 自作自演😁)


『サン・クリスタ女史のレストラン』を設置した場所は、衛鬼兵団にとってはタブーと言える、本物の『絶対的非武装区域』だった。


 ……この場所で斬鬼軍を完膚なきまでに叩き潰すのも、今次戦の目的の1つだったそうだ。


 かくして、この世界での『第二次世界大戦』も、衛鬼兵団の圧勝で終結したのだ!


 ……一滴の血も流さずに……ね♡

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