第16話 戦時行政職権特例法502号

 ……それまでトロ〜ンとしていた王牙の眼が、猛禽もうきん類のように光った! そして、横に居た『純白の兵士』に「いまっ!」……と合図した!


『純白の兵士』の動きは素早かった。 気が付くと、そいつは俺に抱きついていた! 


 ……そして、離れるのも早かった。


 ……その場に居た全員が、状況を理解出来なかった。


 そんな中……純白の兵士がヘルメットを外すと……


 その顔は……な、なんと! この世の者とは思えない程の『美少年』に変化していた!


 赤い瞳、金色の髪の淡麗な顔立ち ……それでいて、鼻の上には似つかわしく無い、痛々しい刀傷かたなきずがクッキリとついている。


 ……


 ……! こ、こいつ! 『刀根 朔也』だ! 紗奈ちゃんが恋い焦がれ、俺が今迄、姿でいた、紗奈ちゃんの妄想クラスメイトの『朔也君』だ〜!


 ……と驚いている暇もなく、王牙が片手で手下達を振り払い、もう片方の手に何か装置を握って、俺に襲いかかって来た!


 その手にした装置を、俺の頭頂部を目掛けて振り下ろした刹那、ユイが片手で俺の首根っこを掴み、うしろに引いた。


 ……間一髪! 王牙の握る装置は、うなりをあげて宙を切った。 


 更にユイは、耳をつんざく大きな声で……


「戦時行政職権特例法 502ごー まる ふた号発令! 指揮権特例復権完了! 『フォーメーション “コード・絶対防衛A・D”、発動アクション


 ……と、早口で叫んだ!

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