第13話ケ・セラ・セラ

「ふぁ〜〜っ! 良く寝たあ〜」……と、唐突に王牙おうがが目を覚ました。 そして……


「お前ら……その『白いの』に興味がありそうだな……」……と言った。


 いや、別に興味は無い。 ……ちょっと気になっただけだ。


「……そんな貴様らに……面白いものを見せてやろう!」


 王牙が立ち上がり勝ち誇った声で、とんでもない言葉を口にした!


「『衛鬼兵団の最期』を……な! あはははは!」


 ええ〜〜!?


 ……王牙が『純白の兵士』に合図すると、そいつはおもむろにヘルメットを外した。 現れた顔は……


……!


 な! な! な! な!


 なんと!



 ユイだ! 例の不敵な笑みを浮かべた、紛れもない『ユイ』だ!


 ……映画とかで良く観るシチュエーションだが、現実に、目の前に同じ顔が2つあると、脳が追い付かない。 当のユイは、全く懲りずに、嬉しそうに氷をゴリゴリ噛んでいる。 しかし俺達は、急展開で言葉も出ない。


 更に王牙は、信じられない『もの』を取りだした。


 あれは紛れもない『司令徽章』だ!


 な、何でこいつが持ってんの!?


「さあて……これをの『ユイ様』に渡して『衛鬼兵団』を召喚したら……どうなるか……」


 まずい! 


 この場所は『なんちゃら憲法?』で決められた『絶対的非武装区域』だ! ここの周辺で『兵器認定』されれば、即、武装解除! みんな綿あめみたくなっちゃう!


『衛鬼兵団』は戦い続けなければ消滅してしまう……とユイから聴いた。 武装解除されれば、奴の言う通り『衛鬼兵団の最期』が訪れてしまうのだ!


 絶体絶命のピンチだ!


 なんとしてでも奴等を止めなくては!


『白い兵士』……いやのユイに飛びかかろうとした俺を、落合さんと佐奈ちゃんが必死に引き留めた。


「朔也……たいらさん! 待って下さい! 今、あの人を攻撃したら」……と佐奈ちゃんが言い、続けて落合さんが……「貴方あなたが連れて行かれちゃいますよ!」と、必死に言った。


「じゃあ、どうしたら良いんだ!? サン・クリスタさんっ!」……俺は、二人を引き摺りながら、野華さんに向って叫んだ。


 ……俺は……衛鬼兵団の今後を野華さんに託す事にした。 野華さんは、俺が考えるより、遙かに大きな存在だからだ。 彼女の判断なら、俺は従うつもりだ。


 俺達は固唾を呑んで野華さん……サン・クリスタさんの返事を待った。


 ……野華さんは、こう言って笑顔を俺達に向けた。


「Que Sera, Sera」

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