第11章『軍師』
第1話 史上最強の汚点
……さてさて、差し当たっての懸案事項は『斬鬼軍』が開発した『対衛鬼兵用殺戮波』(←命名・俺)だ。
現時点での被害者は前総司令ユイ大将閣下のみ……しかもギリギリで石化して難を逃れたお陰で一命を取り留めたのは不幸中の幸いだった。
それにしても、今回、斬鬼兵が攻めて来たのに、新兵器が怖くて、なーんにも手を出せなかった『史上最強の兵団』にとっては『史上最強の汚点』となるだろう。
紗奈ちゃんの願いを叶える軍議も凝らしたいし、名残惜しいが、そろそろ
……野華さんに別れを告げ、『司令徽章』に命令を出そうとしたが、ふと見ると野華さんと紗奈ちゃんが、しっかりと手を握り合って、名残を惜しみ合っていた。
「頑張ってね! 今度は是非、利根君と一緒に遊びに来て。 中学生位の男の子なら沢山食べるだろうから、ケーキ、沢山作って待ってるからね!」
「ありがとうございます。 野華さんも、
……うんうん……実にいい絵だ……。
……俺とユイも野華さんとお別れの握手をして『司令徽章』に、
……と同時に、例の
斬鬼兵を
……紗奈ちゃんは、転送はまだ二度目なので慣れていないからだろう……その場に座り込んでしまった。
……今日は色々あって疲れたはずだ……何日かして少し落ち着いたら、軍議に招待しよう……と、俺とユイが部屋を出て帰ろうとすると……
「た、
「へっ?」……紗奈ちゃんの迫力に
「わ、わたし、大丈夫です! こんな事で驚いていたら、バウンティ・アーミー……じゃ無かった『斬鬼軍』に負けちゃうもん!」
……紗奈ちゃんの思考回路は、落合さん……じゃ無かった『コマイ アチオ』先生の作品がベースにあるから、その都度変換するのが大変そうだ。
……紗奈ちゃんが続ける……「それに……わたし……気付いた事があるんです。『衛鬼兵』達を救えるかも知れない! 是非、作戦会議に出席させて下さい!」
……俺より先にユイが反応した。
「やぬし! おぬし! 中々見上げた根性をしているな。 兄、行こう! 衛鬼兵団参謀本部へ!」……と、やたら演技じみたポーズで、遠い目をして、どこかを指差した。
……こいつ……最近、
やる気満々の人が
今が
「よし! では、軍議を凝らそう!」
俺も、ユイの真似をして、遠い目をして、どこかを指差すポーズをとってみた。 ……お、案外、悪くない気分だ。
……それと同時に……辺りが暗くなった。
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