第4話 証拠

 俺とユイが部屋の奥にお邪魔して振り返ると、佐奈ちゃんはドアを閉め、俺たちに向かって仁王立ちした。 そして……


「さあ、オウガ! 我が『すめらぎ宇宙軍』との直接交渉に打って出た理由を話しなさい!」


 ……おいおい、目が本気だぞ!


「さ、佐奈ちゃん、ちょっと待ってくれ。 こいつは俺の妹『ユイ』だ。 その『王牙オウガ』だか何だかじゃないぜ!?」


「嘘ね。 私には貴方達が、私たちと交戦するつもりでいる証拠があるのよ!」 ……と言って、ポケットからスマホを取り出し、画面をこちらに向け、動画を再生した!


 ……それは、あの『花火大会』で起きた『空自ミサイル誤射事件』の映像だった。


 俺とユイは、顔を見合わせた。


 衛鬼兵団が、映像を残す……或いは盗撮されるようなヘマを犯す筈が無い。


 しかも、その動画は、ユイが『飛行龍』や『ヒキガエル』に指示を出して、あたかもビルや空自の戦闘機F-350Aを攻撃しているかのように編集されていた。


 佐奈ちゃんが「貴女あなたたちから『コマイ先生』の話と『軍事機密』の言葉が出なければ、危うく騙される所だったわ!」


 ……『騙す』もなにも、元からそんな積もりなど無い。 ひきこもりの受験生を騙して何の得になると言うのか。


「まあ良い! 判ったわ。 貴女が『オウガ』である証拠はこれよ!」


 ……佐奈ちゃんが、スマホを操作すると、奇妙な音がし始めた。 ……すると……


 ……!


 ユイの肌の色が……見る見るうちに変化し始めた!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る