第13話 真実

 ……俺が最近良く見る『悪夢』は、この、記憶にない『時点』 ……初めて衛鬼兵団の軍議に参加した時の、消された筈の記憶が、『深層心理』と『司令徽章』の相乗効果で『夢』として蘇っていた為……らしい。


 その時の状況を、再現映像にして観せてくれると言う。


 お! 辺りが暗くなった……。


※ここからは、主人公が見た『悪夢』と、その原因を交互に記載致します!



『突如、轟音と共に大地が割れ、背中に激痛が走り押し潰されてしまう。いくら藻搔もがいても微動だに出来ない。』


 ……の『真実』は……


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 轟音と振動が発生し、衛鬼兵団の議事堂が出現した。


 しばらくして……


 

 「おい」


 ユイが『玉座』から何者かに声を掛けた。

 

 身にまとっている軍服の仰々しさとは不均衡つりあいな、白く華奢きゃしゃな、軽く組んだあしを小刻みに揺らしている。


 苛立いらだっているのは明らかだ。


「お! い!」


 先程さきほどより大きな声で、ぼーっと突っ立っている『巨大なヒキガエル』? のような兵士に声をかけ、何かを顎で指示した。


 ヒキガエルは、「へぇ~い、へい」…と、何とも間延びした声で返事をした。


 ……この時俺は、突然、議事堂と参謀達が出現したショックで気絶していたようだった。 ユイは、俺を目覚めさせる役割をヒキガエルに与えたのだ。


 ヒキガエルは俺に顔を近づけ、指を立てた。 『指』と言ってもダンプカー程もある、巨大な指だ! 


 それを無遠慮に俺の背中に当てて、「お~い、起きろや」と言って揺さぶったもんだからたまらない!


 このせいで、俺は『地震で押し潰される夢』を見てしまった!


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『追い打ちをかけるように、肌を焦がす熱風が俺の身体に容赦なく吹きつける。 激痛と、猛烈な熱に耐えながら、俺は『火災旋風』を思い出した。』……は……


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 俺が起きないので、顔を近づけたそいつの口からは、絶えず溶鉱炉のような、灼熱の息が排出され、その上、物凄くくさい。


 ……ヒキガエルは振り返ってユイに


「だ~めだ、起きねぇや」


 と報告した。


 ユイは厳しい顔をヒキガエルに向け、舌打ちしながら、


さがれ。 貴様は『腹減ったあ〜』しか言わない、本当に役に立たずだな…」


 ヒキガエルは、不機嫌に、畏れ多くもこう言った。


「閣下ぁ〜、あんまり『腹減った』って言わねぇでけろや…… 余計に『腹が減る』けぇ……」


 その言葉を聴いて、ユイはつい、吹き出してしまった。


 何とも憎めない奴だ。


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 ……だったらしい。


 この食いしん坊のヒキガエルみたいな兵士は、俺が気を失っていた時、側にいただけなので、会った事は無いが、妙に『人間臭い』感じだ。……今度、ゆっくり会ってみたくなった。


 ……多分……笑っちゃうだろうな!

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