第12話 記憶喪失

 情報参謀の話はこうだった。


 実は数年前、俺とユイは公園で出合い、その時、俺は栄養失調と脱水症で死にそうだったユイに、食事を買い与えたそうなのだ!


 ……記憶に無いが、もしそれが事実だとすれば、俺は2回もユイに食事を食べさせた事になる。 ……この食いしん坊めっ。


 その後、何かの作戦中に衛鬼兵団前哨基地が斬鬼軍に攻撃され、幸い犠牲者はいなかったが、これを斬鬼軍による宣戦布告と捉えた参謀本部は、俺の身を護るために、俺と兵団員、そして鷹音ようおんさん達の記憶全てを、完全に消し去ったのだそうだ。


 何せ、俺はこいつらと違って、何の特殊能力も持っていない。 下手をすれば、たった一本の針を刺されただけでもあの世行き……だ。


 その為、何処どこからも俺の情報が漏れないように、俺と兵団との関係性を完全にそして完璧に、ってくれたそうなのだ。


 その後、斬鬼軍をあっさりと壊滅した衛鬼兵団えいきせへいだんは、この『司令徽章』だけが記憶していた、この次元に存在しているはずの、臨時司令官……つまり『俺』を探してくれて、再会出来たのだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る