第7章『序曲』

第1話 衛鬼兵団・傭兵・親衛分隊『混成部隊』創設

 我々『衛鬼兵団』と『傭兵』の『混成部隊』は、『㈱アティロム、鷹音ようおん野華ひろか親衛隊』から、『親衛分隊2名』落合さんと藤岡さんを加え、総勢6名に増員された。


 因みに『親衛分隊』2名には、俺が鷹音ようおんさんを好きな事は伏せてある。 ……鷹音ようおんさんと同じ職場の2人に、変に気を遣わせない為だ。



 今日は、記念すべき、あの! 鷹音ようおんさんの手料理をご馳走になる日だ。


 2〜3日眠れなかったので、少々ぼーっとしていたが、今日は緊張からかシャキッとしている。


 広い藤岡さんのマンションが、お食事会の会場に選ばれた。


 現地集合で、俺たち『旧・混成部隊』4名は10分前に集結したが、アティロムの皆さんは、実に1時間前には集合して、既に仕込みをしてくれていた。

 

 藤岡さんがドアを開けて迎えてくれた。


 「お邪魔しま〜す」と玄関に足を踏み入れた瞬間、猛烈に食欲をそそる良〜い香りが、俺たちの鼻腔に総攻撃を仕掛て来た!


 我々『旧・混成部隊』は、基本的に脳では無く胃袋で考えるので、敵地上陸前げんかんの時点で戦意を失い、降伏した。 そして、ジュネーヴ条約によって手厚く保護される捕虜よろしくかしこまって着席し、配膳を待ったのである。



 ……思い返せば、あの夏祭りの時、落合さんによる『鷹音ようおんさんは、お料理上手』という、『神情報漏洩リーク』から、実に1か月以上、待ちに待ちに待ちに待った今日という記念すべき日!


 …………!


 き、来た! ついに来たぁ〜!

 

 鷹音ようおんさんの! 手作り! オムライス!


 ……母親が作ってくれた、はじっこがバリバリで、破れ傘のような卵焼きに、ケチャップで適当てきとーに象形文字がえがかれた物と同じ『しゅ』に属するとは到底思えない、異世界の饗膳!


 ……が、『親兵分隊』落合さんと藤岡さんの手で、サラダとオニオングラタンスープと共に運ばれて来た。


 俺とユイの前には、この究極のメニューが2人前ずつ置かれた。 ……はなはだ遺憾ではあるが、我々衛鬼兵団えいきへいだん現・首脳2名は、事もあろうに『大食らい』のレッテルを貼られていた。


 ……まあ、これは、前章の第11話『超弩級砲雷命中!』をお読みになれば、お判り頂けるように、完全かんっぜんにユイの責任なわけだが。



 俺たちの前に置かれた4人前のオムライスを見て、長瀬と青木さんは肩を震わせ、顔を伏せて笑っている。


 更に、そんな『長瀬分隊』を見て、アティロムの面々も笑顔を見せてくれた。


 ……全くもって恥ずかしい……。 


 ……でも


 ……嬉しい!

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